やはり運命の人なのであろうか。
Oくんと私は同じ地元の小学校の1年1組になった。
しかも背丈で机の席順を決めるので、斜め前後の席になった。
思えば、二人とも本当に中ぐらいの大きさなのだった。私の隣は初めて会うSくんという今でいうところのややチャラい感じの明るい子だった。私の後ろでOくんの隣に座っているのは、お父さんが一流ホテルのシェフをしているあのKちゃんだった。
ど真ん中で隣の席になるより、斜め後ろにいる方がなんとなく気になるものである。
クラスは35人。一人ひとりの性格を知ることができる良い人数だったと思う。障害を抱えた子どもも2人いた。
Oくんと私は、2学期に揃って学級委員になった。
何かと一緒の作業が多く、本当に仲良くやっていた。ある時、二人で駄菓子屋さんの前を通りかかると、幼稚園で暴れん坊で有名だった一つ上のYが囃し立てた。
「あいつら恋人同士や。わーいわーい、ヒューヒュー」
何人かで通せんぼをしようとした。その時、Oくんは突然私の手をしっかり握って走り始めた。
誰もいなくなったところで、手を離した。息が上がって、胸がドキドキ鳴った。
やっぱりこの人は私のカブトムシだと、確信した。
どういう経緯であったか、Mちゃんという一番背の高い女子と、Nくんといういちばん背の高い男子と、Oくんと私で、午後3時の銭湯へ行ったこともあった。
おそらくNくんとOくんが話をしていて「3時に始まったばかりの銭湯へ行ったら、誰もいなくて泳げる」というのを聞いたMちゃんが、私を誘ったように思う。
私たちは怒られるとか、そんなことは何も考えなかった。
親に言うと、誰と誰でいくの、と確かめられたが、歩いて3〜4分の場所にある銭湯の奥さんも知り合いだったから、笑って許してくれた。
午後3時きっちりに、清水湯は暖簾がかかった。ガラガラっと引き戸を開けるとお湯の匂いと、安いシャボンの匂いがした。
小1の私達はそれぞれにタオルと洗面器を持って、番台の下に立っていた。
「子ども、4人です!」
番台の上の奥さんは「しゃあないな」という感じで笑っていた。
お金を渡すと、男子二人は一目散に男湯の脱衣場へ向かい、Mちゃんと私もついていった。
「走ったらあかんよ、滑ってこけるよ」
「はあい」
服を脱いで白い湯煙の中へ入っていく。誰もいない大きな湯船は、最高の遊び場だった。
みんなちゃんとかかり湯をして、湯船に入る。
「わー。気持ちええ」
「ちょっと熱いなー」
慣れてくるとちょっとお湯の掛け合いっこをしたくらいで、私たちは割と大人しく出てきた。
親にもらったお金で、マミィか何かを飲んだと思う。小1の私は、コーヒー牛乳を1ほんは飲みきれなかったように思う。