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another story:イザベル・シャゾーオスモテーク理事、科学委員会会長
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    another story:イザベル・シャゾーオスモテーク理事、科学委員会会長

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「香水は私たちの文化、嗅覚の遺産の一部であるだけでなく、目に見えるもの、目に見えないものの両方の世界とのつながる役割の一部でもある」ーイザベル・シャゾーさん

 香水発祥の地、フランス。ヴェルサイユにある「オスモテック・コンセルヴァトワール・インターナショナル・デ・パルファムは、世界の香水を保存している団体です。そこからの依頼を受け、日本香堂ホールディングスは香席のデモンストレーションを開催しました。
 同団体の理事であるイザベル・シャゾーさんと小仲正克社長のインタビュー・レポートが届きました。

小泉祐貴子さん・小仲正克社長

Konaka’s Report

 第一回の小泉祐貴子さんとの対談は、やや専門的ではありましたが、フランスの香料教育について学ぶ貴重な機会になりました。
 今回はそれに続き、フランスにて、Osmotheque(香水の研究機関)理事のイザベル・シャゾーさんにフランスの香水文化、そして日本の香文化についてお話を伺いました。
 実は今回、フランスに赴いたのはいくつかの仕事があってのことでした。
 2024年1月から2月にかけて、パリのギュメ東洋美術館において、源氏物語展が開催されています。この美術展で、当社が香り演出に協力しております。
 またそのギュメ東洋美術館、日本文化会館(MCJP)などで5日間にわたって”御家流香道”を開催させて頂きました。
 海外での香席の開催は2023年5月以来のことですが、おかげさまで各回満席となり、改めて香水大国フランスの、日本の香文化への関心の高さを実感することができました。
 その際、Osmotheque主催の香席も開催しました。そこで、理事のイザベル・シャゾーさんにお話を伺いました。

小仲 オスモテックの主な活動はどのような内容ですか?

シャゾー Osmothèque(オスモテック)国際香水アーカイブの主な活動は香水の保存です。
 オスモテックには世界で唯一の香水コレクションがあり、その香水の数は6000にも及びます。
 また、嗅覚協議会を通じて香水に関する知識をさまざまな人々に伝えることと、香水に関する研究を行っています。

小泉祐貴子さん・小仲正克社長

小仲 オスモテック設立の目的とその経緯について教えて頂けますか?

シャゾーオスモテックは、Jean Kerléo(ジャン・ケルレオ)を中心とする調香師グループによって1990年に設立されました。
 私たちの目的は、過去の香水の復元を通じて香水の歴史の痕跡を残すことです。また、明日には忘れ去られてしまうであろう今日の香水を保存することです。
 オスモテックの目的は、香水が私たち全員の文化遺産であることから、それらの香水と香水の歴史を一般の人々に紹介することでもあるのです。

小仲 フランスの香水の歴史について教えて頂けますか。

シャゾー フランスの香水の歴史は、フランスそのものの歴史と密接に結びついています。
 フランスの香水の起源は主に2つあり、1つは16世紀における皮革の臭い処理と、そのための香りのついた手袋の流行。そして2つ目は病気を運ぶと非難された悪臭を追い払うため、医療分野において香水が重要な役割を果たしたことでした。
 17世紀から18世紀にかけての王宮における香水の役割も、フランス香水の発展において極めて重要でした。
 その後、19世紀末に合成原料が開発され、香水は「現代的」なものとなりました。原材料の処理と香水の芸術的創作の両方における専門知識を通じて、いくつかのブランドや企業が香水の発展において重要な役割を果たしたのでした。
 20世紀初頭、フランスの香水はかつてない発展を遂げ、世界中に広まり、そしてファッションと強く結びつくことになりました。

小仲 それでは、長い香水の歴史にあって、業界に変革をもたらした香水は何がありますか。

シャゾー 香水業界には多くの革新的な香水がありました。
 特に、合成分子と革新的なアコードの開発により、香水業界は定期的に新しい香りを世に送り出し、瞬く間に流行を作り出すことに成功しました。

小仲 日本の香り文化、香道についてどう思われますか。

シャゾー 香道の文化には魅了されます。
 香りの嗅ぎ方は、私たちが普段フランスで香水を嗅ぐときに経験するものとはまったく違います。身体と心全体を使った全体的な経験です。
 私の観点では、香道はユネスコが認定する人類の無形遺産に含まれるべきものであると思います。使用される木片が非常に古く、そして貴重であるという事実は、オスモテックにおける私たちの香水の保護使命と共通性があります。

小仲 化学規制、環境問題、世代交代、多様性など、現代の環境は常に変化していますが、今後の香水にとって重要な課題は何でしょうか。

シャゾー 香水は、社会の変化、技術革新、新しい規制、環境問題に適応しなければならない生き物のようなものです。今は、多くの変化が一度に起こる、とても難しい時代といえます。
 しかし、香水が常にそうであったように、香水はこれらの新しい様々な制約に適応する方法を見出し、調香師は私たちの生活の中で決定的な存在となり、永続的な感動を生み出す素晴らしい香りを創り出すと信じております。
 香水は私たちの文化、嗅覚の遺産の一部であるだけでなく、目に見えるもの、目に見えないものの両方の世界とのつながる役割の一部でもあるのです。

小仲 お話で印象深かかったのは、香水文化の歴史と、日本の香り文化の違いや見立てです。特にフランス人は一般的に見てもMeditationやスピリチュアルな側面への関心が高いと感じました。

小泉祐貴子さん・小仲正克社長

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