葉加瀬さんの作る曲は、ロマンティックな曲はどこまでもロマンティックに、壮大な曲はどこまでも壮大に、メロディが心に残ります。
「僕は常々、作った曲がいろんな人の人生の中で使えるものであって欲しい、と思っています」
そんなふうに思い始めたのは、20歳の頃。
「4歳からヴァイオリンを弾き始めて、10歳の時ヴァイオリニストになろうと決めて。18歳の時には学園祭でコンサートを企画し始めて。20歳を超えた頃、僕にしか奏でられないメロディーを作ろう。どんなちっちゃなスピーカーでそれが流れても、2秒で葉加瀬太郎だとわかるようになろうと」
まさに『情熱大陸』も『Another Sky』もそんな曲。
「レコードを制作している中で、歌だと思って弾いています。そのことが、ここ10年ぐらい、さらに心地よくなってきました。今はおかげさまで、2秒で葉加瀬太郎だとわかるようになってきたのかな。でもここで甘んじることなく、ヴァイオリンの可能性はもっともっとあるので、いろんな音にチャレンジしていきたいと思っています」
情感豊かなフレーズは、どこから生まれてくるのでしょうか。
「どういう曲を書くかということは、どんな曲を聴いてきたかに尽きるのです。高校生になる前のクラシック小僧だった僕としては、19世紀のロマン派の音楽にフォーカスしてきました。ドビュッシー以降は全く別物になります。小説のように、映画のように、個人の人生が投影された音楽ですよね。だから僕が好きな音楽家はブラームス、アレトン・サルバニーニ、カルロス・ダフェ、ピアソラ、パット・メセニー、坂本龍一。それだけあれば大丈夫!」。