4年間のアメリカ修行時代に、生島さんは日本では見ることのできないものもたくさん見てきたようです。
「実はアメリカ時代に、僕は庭師をしていたこともありました。アメリカ人のお金持ちの家に行くと、常にいい香りなんです。ハウスキーピングが行き届いていて。ビバリーヒルズやオレンジカウンティあたりの家ってとてつもなく広い。常にいい香りがしているんです」
特に思い出に残っている家がありました。
「僕がお世話になったロデオドライブのフリーモントプレイスは35世帯しかない24 hour gated community。巨大な柵でその住宅地が囲まれているんですね。デザイナーの人に紹介されて行ったら、日本人で初のVOGUEモデルになった女性とその夫の家でした。玄関を入るとペルシャ絨毯がドーンと敷いてあって、いろんな国のアンティークが飾られていて。そのお宅は、お香の香りだったんです。東洋へのリスペクトがあったのでしょうか、とても印象に残っています」
そのお宅には様々な贅沢がありました。
「電動で上半分が起き上がるベッドでね、介護ベッドでもないのに(笑)。起き抜けの2階の窓から、海を見られるんです。コミュニティのヨットハーバーが見えて。トリコロールカラーでコーディネートされているんです。それに、どこの部屋へ行っても音楽が流れていてね。今はgoogleがあるから当たり前かもしれないけれど、当時はすごいなあと思いました」
若い頃の感動は一生の財産になる。生島さんは、そんな経験をされたことから、自身のご家族にも本物のリゾートを体験させています。
「お金のないときは近場の温泉でしたけど。家族旅行は夏と冬は必ず行っています。ドバイの七つ星ホテルも行きましたし、一番すごかったのはフィリピンの島。アマンリゾートの会長が行くという、プライベートコテージに泊まったんです。プールがドーンとあって、端端に4棟のコテージ。キッチンも専属シェフがいた。僕らドキドキして、何か頼んだらまたお金がかかるんじゃないかとか思ってね(笑)。全部含まれてるのにね。日本に帰ってからは、しばらくケチケチしていたなあ(笑)」
そんな思い出はお金に替えられない、心の財産です。