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今かぐわしき人々 第110回
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    第110回:岩崎宏美さん(歌手)

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 おおらかに、伸びやかに、空まで包み込みそうな歌声。昨年、デビュー45周年を迎えた岩崎宏美さんのその歌声に、これまで心癒されたことがある人はたくさんいるのではないでしょうか。
7月から神奈川県民ホールでのコンサートを皮切りに、また大きなコンサートを開催する岩崎さんに、きら星のような思い出と、歌い続ける人生について、お話を伺いました。

《1》忘れられない、ハワイの空港の花の香り

 幼い頃から音楽に慣れ親しみ、小学校に上がった頃から歌を習い始めたという岩崎宏美さん。テレビのオーディション番組「スター誕生」に出演したのはまだ中学3年生のとき。
当時、習いに行ってたピアノの先生の家で、素敵な香りの体験がありました。

「先生の家に香水の瓶が置いてあったのです。クリスチャン・ディオールのディオリッシモという香水だと教えてもらい、香りもかがせてもらったら、すずらんの花のような、とってもいい香りで。ああ、いい香りだな、大人になったら絶対に買おうと思いました」

 「スター誕生」で合格した岩崎さん。「スター誕生」という番組では、最後に「うちに来て欲しい」という事務所やレコード会社のプラカードが上がるのですが、8社のプラカードが上がったようです。そして、プロの歌手への道を歩き始めました。
 デビュー曲『二重唱(デュエット)』の作詞作曲は、阿久悠さんと、先日亡くなった筒美京平さん。2曲目で90万枚のヒットとなった『ロマンス』もこのゴールデンコンビです。いかに将来を嘱望された新人だったかがわかります。
 3曲目の『センチメンタル』はセンバツ高校野球の行進曲にも選ばれたほど。

「『センチメンタル』のときは、同級生の男の子たちを応援するという感じでしたね。センバツの行進曲は2度選ばれていて『聖母たちのララバイ』のときは、すっかり球児たちのお姉さんでした!」

 しかし、なんと『聖母たちのララバイ』を歌っていた時の岩崎さんは、まだ23歳。ずいぶん、大人の女性に見えたものです。
 芸能界華やかなりし時代。岩崎さんは、16歳の時、すでにパスポートを取得して、それから20歳までの間は、毎年、お正月にハワイに行っていたそう。

「初めて降り立ったハワイの空港は本当になんともいえない花の香りがして。ああ、老後はここに住みたいななんて思いましたね」

 初めてのゴルフもハワイでした。

「ハワイで『スター誕生』の公開録画があったことがあって、その時、司会の萩本欽一さんと、審査員だった阿久悠さん、都倉俊一さんとで初めてゴルフのラウンドをしたんです。まだ免許もないけれど、カートなら大丈夫と私が運転して。きれいんな蝶々を追いかけて別のところへ走っていってしまったりしました(笑)。都倉さんは私を教えなくてはいけないので、無茶苦茶なスコアになってしまったり。楽しかったですね」

 なんというすごいメンバー。無邪気で明朗な少女の岩崎さんの笑顔に、みなさん、翻弄されていたのでしょう。
 しかし、毎年のハワイ行きは、先輩歌手のこんなアドバイスで止めることに。

「事務所の先輩にいしだあゆみさんがいらして。私はすごく憧れていたんですね。そのうつくしい彼女が『あなたね、そんなに毎年真っ黒に日焼けするのは20歳までにしなさいよ。歳を取ったら全部シミになっちゃうからね』と言ってくださったんです。それは大変と思って、本当に日焼けは20歳までにしたんです」

 今の美肌と美髪は若い頃からのそんな注意でキープされているようです。

岩崎宏美さん

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