岩崎さんはヒット曲もたくさんお持ちですが、シングルのB面やアルバムの中にも素晴らしい作家さんによる名曲がたくさんあります。
私事ながら、筆者はデビュー曲の『二重唱(デュエット)』のB面の『月見草』を彼女が大ホールでアカペラで歌うのを聴いたことがあります。
3階席まで届く声量と言葉が抑揚をもって心まで伝わってくる表現力。きっと作家さんたちも、彼女のように歌ってもらえたら、歌に息吹が吹き込まれたと感じるに違いないでしょう。
そう思っている作家さんの1人に、さだまさしさんがいます。
「まさしさんは私にとって生き神様です。彼の歌が大好きで、トリビュートアルバムを出してしまったくらい」
アルバム『Dear Friends Ⅵ〜さだまさしトリビュート』は、岩崎さんの好きなさだまさしさんの曲で構成されています。『道化師のソネット』や『秋桜』と言った大ヒット曲のほか『奇跡〜大きな愛のように』、『夢』、『いのちの理由』といった、岩崎さんが歌うことでまたたおやかな説得力をもった歌が収録されています。
さださんとの出会いは、デビュー当時、歌番組で。
「当時のまさしさんはまだグレープの解散前でした。彼は市川、私は錦糸町。同じ総武線歌手だよね(笑)というのと、当時、まさしさんの事務所も父上が社長、私の事務所も父が社長という共通点があり、仲良くさせてもらいました。『おまえのような男らしい女が好きだ』と言ってくださって」
もちろん人柄はもとより、岩崎さんも惚れ込んでいるのは、さださんの作る歌。
「まさしさんの詞は、歌いながら人生を教えてもらっているような修行僧のような気持ちになれるのです。すごい言葉を紡がれますよね。まさしさんの日本語の美しさを大事にしたい。日本語って本当に美しいなと思わせてくれます」。