デビューした頃は、フォーキーというジャンルに括られることが多かったといいます。
「渋谷系の次の流れとして、フォーキーと呼ばれたことがありました。サニーデイ・サービスとかと一緒にね。渋谷系がピチカートファイブみたいなバンドなのに対して、そうなったのでしょう。曲は昔のフォークではないけれど、原点に帰るというような意味だったのかもしれない。自分たちも意図的に原点に帰るような曲はやろうとしていました。実際、はっぴいエンドとか好きだったし、そういうところのムーブメントを持ち込みたかったところはあります」
ホフディランの歌は確かに昔のフォークソングとは違います。そして、2人の書くそれぞれの歌詞が違うタイプでありながら融合している楽しさが。
「2人とも歌詞も書きますが、僕は普遍的なことが好きで。人はなぜ生まれてどうなるのか、というような。ワタナベイビーは、基本的に、自分のことを書く」
もともとデザインに興味があった小宮山さんは、ジャケットのデザインや映像にもこだわりがあります。
「もちろん、プロのデザイナーがいますが、自分でもやらないと気持ちが悪いので。現状はお客さんをたくさん入れるライブがやりづらいし、映像とかビジュアルって重要ですよね」
ライブ活動は、配信が主軸に。7月3日の25周年からは、毎月、配信ライブを行っていく予定。
「ほぼ生配信、という感じで、その日の夕方録って、チェックして夜に出すような。8月29日には大阪でミニトーク&ライブをやります。何が大変かって、昔は全国ツアーでも、セットリストは一つでよかった。そこでしか観られない、聴かれないですから。でも、配信はどこからでも観られるし、聴かれるわけですから、いろんな曲を入れていかないといけないんです」
時代とともに、音楽をどう届けるか、状況は変化していきます。
「CDを買ってもらえると思えないですしね。自分だって買わないんだから。ということは、1枚のアルバムをじっくり聴くということも少ないでしょう。CDショップへ行って、棚で選ぶこともないだろうし。だからミュージシャンもデビューさえすればなんとか生きていける時代は終わりましたね」
確かに今は、SpotifyやApple Musicといったサブスクという目に見えない無限の棚から、リスナーが好きな曲を選ぶ時代。
「『スマイル』をリバイバルで聴いてもらえたりするのはありがたいですけれど。過去からの逆輸入のように、昔の曲が聴かれることは結構あるようです。何かと組み合わさって、その中でピンポイントに際立つような曲を届けないといけないですね」。