生活と音楽。暮らしている場所と音楽が一体になっている感じがする小宮山さんは、香りも大切にしています。
「よくディフューザーを買ったりはしますが、香りの名前がわからない。香りの名前を明確に言えるようになりたいですね。香りって目に見えないでしょう。目に見えないものに名前をつけられる調香師さんってすごいなと思います。ミュージシャンをやっていて、ゼロから生むってすごいって言われることがあるけど、香りも同じじゃないかな」
小宮山さんには「見えないものを掴む」感覚が恐怖に近いくらいすごく思えるそうです。
「例えばチョコレートが目の前にあったら、これはチョコレートだとわかるし、味も想像がつく。果物も、熟れているから旨そう、とかわかる。でも、香りは見えない。我々に見えないものをその人たちは見えるようにわかっているわけですよね。つかみようがない。それを考えると、小さくパニックになりますね」
生活の中の香りの形としては、ディフューザーが一番好きだとか。
「ディフューザーはずっと香りを出しておいてくれるじゃないですか。まあ、1ヶ月くらいは。スプレーで香りをまいてもすぐ消えてしまう。僕はなくなってしまうことが極度に寂しいというか、嫌なんだと思います。でも香りはなくなっていくのがいいのかなあ」
今聴いている音も、次の瞬間には消えていきます。ひょっとしたら小宮山さんは、音にもそんなふうな愛おしさを感じておられるのでしょうか。
一方で、料理の香りにもしっかりこだわっている様子。
「Lemon Rice TOKYO というテイクアウトの店をやっていました。今はECサイトをメインにしてますが、イベントや催事にも出店しています。音楽事務所なんだけど、うちは常にカレーの匂いがしているんですよね。」
料理のなかで、香りをいくつかの場所から発生させる面白さ。先日、訪れたレストランでも、こんな体験が。
「メニューには燻製、と書いてあるんだけど、料理には燻した香りがついていなくて、スモークの箱を持った女性スタッフがやって来てその場を歩くんです。口の中で燻製になる、という。これはちょっとめんどくさくて笑いましたけど」
そんな食べ歩きのなかの心動くシーンが、また小宮山さんの音楽や言葉に反映されていくのでしょう。
生活そのものが音楽でアート。小宮山さんの肩に力の入らない、でも繊細な生活が、本当の意味で「都会的」という気がします。
●今回の撮影場所
CHOMPOO (チョンプー)
森枝幹シェフによる、スパイシーなだけではない美味しくて本格的なタイ料理レストラン。フレッシュハーブをふんだんに使い、常に新しいチャレンジで料理を提案。天井が高く、洒落た内装も他のタイ料理店とは一線を画しています。
その日のカレーやカリカリガパオなど、ぜひお試しを。
東京都渋谷区宇田川町15−1 渋谷パルコ4階
電話 03-6455-0396
https://www.instagram.com/chompoo_shibuya/?hl=ja
小宮山雄飛
ミュージシャン/渋谷区観光大使
1973年原宿生まれ。1996年にホフディランのボーカル&キーボードとしてデビュー。
食通としても知られ“音楽界のグルメ番長”の異名を持ち、渋谷にレモンライス専門店「Lemon Rice TOKYO」を立ち上げた。
2020年11月より渋谷区初のCEO(chief eat officer)に就任した。
ホフディラン公式HP:http://hoff.jp
小宮山雄飛Twitter:@yuhikomiyama
告知
ホフディランの二人が、過去のお宝映像やここでしか聞けない裏話を披露する、ファン必見の特別イベント・ホフディランスペシャル略して【ホフスペ】。
二人の爆笑トークに加え、ホ二人セットのライブも披露。
2021.08.28 sat
会場:大阪・梅田 Lateral(ラテラル)
開場:12:30 開演:13:00
前売り:2,500円(+1drink) ※60名様限定
【チケットのご予約】
■FC多摩川先行予約:2021.07.28 13:00〜
https://note.com/hoffdylan/n/nd34e0a260816
■一般予約受付:2021.08.04 10:00〜
https://hoff.jp/ticket
会場公式サイト:https://lateral-osaka.com/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 初沢亜利(はつざわ・あり)
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家として活動を始める。
東川賞新人作家賞受賞、日本写真協会新人賞受賞、さがみはら賞新人奨励賞受賞。写真集に『Baghdad2003』(碧天舎)、『隣人。38度線の北』『隣人、それから。38度線の北』(徳間書店)、『True Feelings』(三栄書房)、『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)。
近著はこちらから