しかし、今回、2人が再会したイベントは、百恵さんの息子さんの三浦祐太朗さんとの共演だったと言うのですから、良きご縁は違った形で続いているものです。
岩崎さんは言います。
「去年の11月、ある番組のイベントで久しぶりに五郎さんと共演したんです。一緒に洋楽を歌ったり。その時、三浦祐太朗くんも出演していて、一緒に百恵さんのかつての名曲『秋桜』を3人で歌いました。私たちはなんだか不思議な立ち位置で歌いましたね。親のような気持ちで、ね」
その後、百恵さんから「息子がお世話になりました」という年賀状も届いたのだとか。
アイドル時代から数十年。野口さんも岩崎さんも持ち前の歌唱力を生かし、ミュージカルの舞台を踏むという仕事もされています。
「2人の共通点といえば『レ・ミゼラブル』に出演していることですね。板の上に立つ人間は、誰にも言えない、その人にしかわからない葛藤があるものなんですよ」(野口)
「そうですね。連絡先は知っていたけれど、お互いに連絡を取ることはなかったんです。その去年のイベントがきっかけで、話をするようになって。とにかくコロナ禍で、イベントがたくさん中止になる中でのことですから、ここ最近『このままでいいのかな』なんて、相談という感じでもなく、ね。そうしたら五郎さんから言ってくださる言葉が目から鱗なことが多かったんです」(岩崎)
野口さんは岩崎さんにこんなメッセージを送っていました。
「前を向いて生きましょう。少し斜め上を見る勇気を持ちましょう。前を向くだけじゃない。少し斜め上を見れば、もっと楽しいことが見えてくる。音楽仲間として、お互いにきっと目の前を変えていけるよね」
トップを走り続けていたお二人だからこそ、そういう同士にしかわからない悩みはあるのでしょう。
岩崎さんは、率直にそれをこんなふうに説明してくださいました。
「昔の自分と競ってしまうんですよ。年齢とともに、若い頃と同じ声は出ないのに、お客様はその前のままを期待してくれているから、なんとかしなきゃと思うんです。でも、野口さんは『競わなくていいんじゃない』ってさらりと言ってくださった」
野口さんは、岩崎さんにはさらりとそう言ったものの、ご自身でとても悩んだ時期があったと言います。
「これは比喩ですが、過去に囚われると『寝ちゃいけない』となっちゃうんですね。頑張り続けなきゃ、って。ほとんどの歌手は過去の自分に囚われて寝不足になっていると思うんですよ。でもね、ぐっすり眠るのも大切なんです」
真面目な話をする野口さんがちょっと暗い表情になりそうになると、岩崎さんがにっこり言いました。
「私は8時間とか9時間寝ますよ(笑)」
お二人のトークはバランスを取り合える、素晴らしいコンビネーションです。
そして、時々はぐっすり休みながらも、また新しい自分に出会い、新しい姿で私たちの前に登場してくれる。タフな永遠のアイドルなのです。