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    第137回:立木義浩さん(写真家)

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《2》スナップ写真はドキュメント。人の心に触れる普遍性への手法

 今は誰もがスマホを手に、写真を撮る時代。けれども写真業界というものは確かに存在していて、プロフェッショナルな写真家が存在しているのも事実。
 さまざまな写真が氾濫する時代のなかで、立木さんが気になっているのが「修正」の度合いです。

「昔写真館では白黒ネガを修正していましたね。もちろん技術は必要だけど地味な仕事だから男はネガシヤンを探す。シヤンはドイツ語で美人。その当時の写真館の巧拙の評価は修正と照明が決めてで評判を左右したんだと思います。昔、母親がある花嫁さんの親御さんに頼まれたの。『片眼が不自由な娘を嘘でもいいから。なんとか普通にしてもらえませんか』ってね。もちろん、母親はうまく直したよ。その親御さんは泣いて喜んでた」

 修正の意味を考えさせられるエピソードです。晴れの日の思い出をきれいにしてあげる。そこには多少の嘘があっても、構わないのではないかと。

「それを、三つの真実にまさる一つのきれいな嘘、というんだね」

立木義浩さん

 修正と加工は違います。今はデジタルで、絵のように加工がなされます。

「本屋に行くと、雑誌で若い女性が表紙になってる。いや、こんなにツルツルじゃないだろうと思うけれど、そのことでクレームはつかないよね。ある往年の大女優は、右のこめかみに青筋が出るの。フィルム撮影なら、左側寄りから撮るしかない。でも今なら、消せるから正面からいろんな表情が撮れるかもしれない。加工が全く悪いわけではないんだ」
 もう一つ、立木さんが考える現代の写真の特徴に「ガールズトーク」的な感覚があると言います。ジェンダーです。

「女性が『私はこう思う』ということが写真の中心になってきて、写真と写真を観る者との関係性が重要になって来た。女性がどんな風に世界を見ているかについて男達は憶測しか出来ない。それに評論家がすり寄っていく。キュレーターという職種もほぼ女性だから。作品自体の評価が、SNSなどの評判で左右されるようにもなってきた。何が真実か。それは見る側にかかっていますよ」

 もはや評価に振り回されることもない立木さん自身が撮りたいものは、スナップ写真。

「いろんな仕事をしてきて、スナップ写真だけは続けて撮っているし、これからも撮り続けるでしょうね。なぜって、日々、刻々と場面は変わっているから、締め切りもない、終わりもない。そしてドキュメントというものは、人の心に触れる含有量が多いから。それしか普遍性につながらないようにも思いますが、普遍性も時代や生活様式によっては変化するかも知れないので油断出来ません。瑕瑾や瑕疵の無い写真は物足りないと思う心は、自己防衛でしょうか。人間は弱い動物ですねえ」。

立木義浩さん

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