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今かぐわしき人々 第142回
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    第142回:南果歩さん(俳優)

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 愛くるしい笑顔と抜群のスタイル。そして真っ直ぐに生きる素直さがルックスににじみ出ている女優といえば、南果歩さん。コロナ禍の自粛期間中にエッセイを執筆したり、9月には東京・日生劇場での公演『夏の夜の夢』に出演したりと、その表現へのエネルギーは止まるところを知りません。「情熱だけが道しるべ」と、人生を果敢に歩く心のもちようを伺いました。

《1》苦しいことを超えると見たこともない景色が広がる

 9月6日から日生劇場で始まる『夏の夜の夢』は、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』を斬新な演出で日本の森を舞台に上演するというもの。中村芝翫さんと南果歩さんが妖精の王様と王妃を演じるという「愛の喜劇」です。
 南さんが22歳の時、初舞台となったのは、やはりシェイクスピアのあの代表作。

「初舞台が『ロミオとジュリエット』だったんです。ロミオは真田広之さんで、私がジュリエット。30代では『マクベス』で、マクベスを段田安則さんが、王妃を私が演じました。この二つの大役を果たしたのだから、もうシェイクスピアはないかなとも思っていたのですが、唯一と言ってもいい最高の喜劇が残っていましたね。この重苦しい世の中にはユーモアや楽しさが必要ですよね。『真夏の夜の夢』は、笑えるし、楽しいし、セットも衣装も美しい。夢の中の物語ですから」

 そもそもシェイクスピアの原作は翻訳者によってもセリフの妙味が変わります。

「『ロミオとジュリエット』の時は、福田恒存さんの訳でしたから、古典的で正調な感じ。『マクベス』は、松岡和子さんの訳だったので日本語のリズムが小気味良く現代的でした。今回の河合祥一郎さんは、シェイクスピアならではの韻を日本語でも踏んでいて、言葉の面白さが広がる翻訳です。」

 南さんが演じる王妃・ティターニアは妖精ですが、媚薬を盛られて人間に恋をしてしまいます。

「人間と妖精の境界線が混じり合っていく面白さがあると思います。若い男女の4人の恋模様も並行して進んでいきますし、劇中劇もあったり、息つく暇なく楽しんでもらえるのでは」

 8月は稽古があり、9月は6日から28日までの上演。気力も体力もいる仕事です。

「映像も舞台も同じお芝居だけれど、競技内容が違う、という感じですね。それぞれ、使う筋肉が違います。舞台は、始まったら終わるまでマラソンのようにノンストップ。ここは跳ばす、ここで落ち着く、という持久走です。映像は瞬発力が必要なので短距離走のようだったりします。体の使い方が違うんですね。楽しいかと訊かれたら苦しいことも多い。でも、苦しいことが苦しいことに止まるわけじゃなく、それを超えるとまだ自分が感じたことのない、見たことのない景色が見える瞬間があるんです。苦しいことを道程にして、次の景色を見ることができるんです」

 1ヶ月に及ぶ稽古では、どんなふうに役をつかんでいくのでしょう。

「稽古というのは実験できる、試せる場なんです。試しては捨てたり、これは入れようと思うものを組み込んで行ったり。そういう作業は面白いですね」。

南果歩さん

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