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    第159回:佐々木優太さん(神社ソムリエ)

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《2》神社巡りの始まりは伊勢神宮。目覚めてバイクを走らせた

 兵庫県生まれの佐々木さんが上京したのは約20年前。

「もともとはシンガーソングライターとして一旗上げようと、20歳のときに東京に来たんです。今も諦めてはいませんが。上京するときは、5万円しかなくて、最初が肝心、と、新幹線に乗ったんですね。そうしたら残りは3万5000円くらいしかない。生活するのに精一杯で鳴かず飛ばず。それで、とりあえずイベントの運営側の仕事をし始めたんです」

 20年前の東京はまだイベントがたくさんありました。モーターショー、カメラの新作発表会、パネルディスカッションの進行。スタジアムで始球式の裏方をやったこともありました。

「赤坂サカスのイベントのとき、今のマネージャーさんとも知り合いました。とにかくイベントの仕事はうまく行っていたんです。お金はどんどん入ってきました。子どもの頃は欲しいものが買えなかったので、どんどん買って物欲を満たしました。欲しかったイタリア製のバイク、ホームシアター、大型冷蔵庫。そうやって一度部屋を満たしてみたけど、心は満たされなかったんです」

 あるとき、突然、こんな想いが湧き上がり、夜中に飛び起きます。

「今すぐ、伊勢神宮に行かないといけない。そう思ったんです。普段は仕事もあるし、そんなことは思いつかないんですが、たまたま数日暇だったのもありました。それで、そのままバイクで伊勢神宮へ行って、記念に御朱印帳を買いました。なんとも気持ちの良い場所でした。そこの空気に、満たされるものがあったんでしょう。気づくとまた東京と違う方向へバイクを走らせていて、着いたのが大阪南港だったんです。そこに停まっていたフェリーに、バイクを乗せて、それからチケット売り場へ行きました。『僕が乗る船はどこへ行きますか』と」

 想いに衝き動かされた佐々木さんの行き先は、神のみぞ知っていたようです。

「たまたま、宮崎行きのフェリーでした。なんとなく、昔、高千穂に太古の昔からある神社があると聞いたことがあって、それで行って。当時は高速道路が1000円だった時代で、高速を乗り継ぎ、九州から東京へバイクで帰ってきたんです。まあでも、急に奇跡が起こるわけではありませんでした」

 奇跡は徐々に、佐々木さんの心の見えない場所で起こっていたのかもしれません。

「それから明治神宮へ行って、御朱印をもらった。でも最初の頃の僕は、ここが神社か寺かもわからなかった。ただ、海辺には海の神様、山には山の神様が祀られている。なるほどなあ。でも、内陸なのに、海の神様が祀られていたりする。それを疑問に思って神社の人に訊ねると『昔、ここまで海岸線だったんですよ』と教えてもらって、へええ、と感心したり。そんなふうに、働いて稼いだお金で神社巡りを始めたのがスタートです。それが26歳のとき。それから13年、神社巡りをしました」。

清水さん

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