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    第166回:SINSKEさん(マリンバ奏者)

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《2》若い6人の奏者との共演。出し惜しみせず伝えたいことがある

 10月29日に東京・紀尾井ホールで開催される20周年記念コンサート『    』(SPACE)は、パッと見るとミスプリントのようなタイトルですが、その名の通り、自由で無限の空間が表されているようです。

「SPACEは、宇宙、という意味ですよね。ジャンルを超え、新たな楽曲を加え、どんどん未知なる可能性が広がっていく。そういう空間や場所をイメージしています。そして、マリンバ奏者たちに未知なる道も作って行けたらなと」

 そこで、考えられたのが、7台のマリンバによる演奏。
 SINSKEさん以外に6人のマリンバ奏者が登場する前代未聞のコンサートなのです。

「10代、20代、30代の男性トップ・マリンバ奏者に声がけしました。みなさん受賞歴もある素晴らしい奏者です。なぜ男性を集めたかというと、僕がマリンバを始めた頃は、日本のマリンバ奏者は女性ばかりだったんです。海外では男性奏者が主流なのに、日本では女性奏者ばかり。どうやら最初に作られたマリンバが、高さ調節のできないものだったようで。だから、男性奏者はいろいろ苦しんできた。だから彼らの才能も含めて、マリンバという楽器の素晴らしさを伝えたいんです」

 若い奏者に、出し惜しみせず伝えていきたいものがある。SINSKEさんの想いは、自分も苦労してきたという背景があるのでしょう。

「そうですね。これまでの自分の経験から、枯渇してほしくないなと思うんです。歳をとるのが怖いと思うんじゃなく、味が出てくるんだよ、というのもわかって欲しいし。僕にとって彼らと一緒にやることも、一区切りなのかもしれない。出し惜しみなくやってみて、伝えて、5年後、10年後が見えてくるかもしれないな、と」

 7台のマリンバが奏でる音。木の音のプリミティブなぬくもり、洗練された現代のハーモニー。きっと世界的に見ても、唯一無二の音楽空間となることでしょう。

《3》ベルギーで友達とハグした瞬間、帰ってきたなと思った。

 SINSKEさんの活動のSPACEも、ますます広がりを見せています。
 今年1月には、ヨーロッパでマスタークラスやコンサートを成功させました。

「1月1日にバルセロナへ行きました。打ち合わせをして、ベルギーへ渡り、マスタークラスとコンサートをして、またバルセロナに戻って。過去にはベルギーに学んでいたのですが、今の海外の新鮮な音楽に触れて、またこれを日本へもってきたいとも思いました。それに、彼らが日本で演奏したいときに僕が動いてそれを紹介するということもやっていきたい」

 ベルギー、スペインと、学生時代以来長く続く友人も多いSINSKEさん。

「ヨーロッパの人の挨拶はハグですよね。ベルギーで友達とハグした瞬間、ああ、帰ってきたなと思いました。その人の香りがするんですよ。僕は日本では香りはまとわないですが、海外では好きな香りを身につけます。柔軟剤の匂いじゃダメですよ(笑)。僕の匂い、を持つ。それを覚えてもらう。そういうふうに、香りというのがその人のキャラクターになっているんだと思います」。

SINSKEさん

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