コンサートのタイトルにしたSPACE、という言葉は無限に広がっていきます。
海外でマスタークラスを開催するほどに、SINSKEさんは教える、伝えるといったことも得意な人です。
「教えるのは好きですよ。コロナ禍で、リモートの可能性もさらに感じられました。6年間、リモートで教えた地方の生徒さんが大学に合格したときは嬉しかったですね。教える、というのはアウトプットしても枯渇しないことなんだとも気づきました。教えるということは、自分のやってきたことのなかに価値を見つけることでもあるんです。教えることが、マリンバと自分を繋いでくれたような気もするくらいです」
でも生徒を囲い込むことはしたくないとSINSKEさんは考えています。
「僕の生徒、僕の弟子、とは言わないようにしています。もっと自由でいいし、海外に行きたかったら紹介するし。門下、とか、くだらない縛りはいらないと思う。人間だから相性もあるし、もっと違う先生に学んだ方がいいなと思うことがあれば、背中を押す。自由な関わり、というスペース。あ、SPACEにはそういう意味もありますね」
SINSKEさんという人は、マリンバという楽器と出会うことで、さまざまな場を無限に広げてきたのかもしれません。
「自分にとって、このコンサートはなんていうコンサートだったのかな、と、皆さんに『 』のなかに言葉を入れてもらえたらいいですね。僕自身も、どんどん外の未知なる世界へ出ていこうと思っています」
心というものも、また無限のSPACE。SINSKEさんが歳を重ねて響かせる一音一音は、またさらに深く遠く聴く人たちの心を満たしていくことでしょう。
SINSKE 公式ホームページ
https://www.sinske.jp
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com