『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』でおばあさんの役をしていた樹木さんですが、実はまだ当時30代。
「47年ぐらい付き合いがあったのかな。みよちゅわん、と呼んでくれていました。最初に演技のえの字もわからなかった私に『演じるのは気持ちが大事』と教えてくださいました。アドリブで突然スカートを捲られて真剣に怒ったら、それが面白いと。ほっぺたを叩き合って、二人ともどんどん本気になって、本当にほっぺた真っ赤になったりしたこともありましたね」
大事なことは「普通でいること」だとも教わったそうです。
「人としてのことがちゃんとできること。役者としてじゃなくて、人として普通でいなさい。そうじゃないと、普通の役はできないよ、と言われました。ぞろぞろと人を引き連れて歩く芸能人になるのはかっこよくない。できればひとりでいるのがいい。その方がかっこいいんだから、と」
浅田さんは、人としての当たり前のやさしさや謙虚さをちゃんともっている人。それはそんなふうに育っていたからでしょう。例えばこんなことを思ったそう。
「ドラマで屋根の上で歌うというシーンがあったんですが、田舎から出て住み込みで働くのに、いきなりその家の屋根に上るなんて、なんだか図々しいんじゃないかなあと思っていました」
みよちゅわんの根っこにあるそういうところを、樹木さんはとても大事にしたのでしょう。
昨年発売された著書『ひとりじめ』(文藝春秋社)には、二人の交流がつぶさに書かれています。
「ご飯を食べたり、旅行に行ったり、よく一緒にいましたから。47年間、楽しい思い出がいっぱいあります。樹木さんの、内田家のお墓はすごく良い場所で、とても大きくて、桜の木の下にあるんですね。春はお花見ができるんです。だけど、夏はやぶ蚊に刺されながらお参りしなくちゃだし。秋は枯葉が多くて掃除が大変。『ね、こんなに大きくなくていいんじゃない?』なんて言いながら、ね」
浅田さんはそれだけ頻繁に今も樹木さんに会いに行っているということなのでしょう。樹木さんもきっと空から微笑んで見守っていらっしゃる気がします。
樹木さんだけでなく、いろんな人から大事にされる浅田さん。明石家さんまさんにも助けられたそうです。
「28歳で離婚してすぐの頃、悲しい役とか、不幸な役ばかり来たんです。多分、離婚するということ自体が、まだまだ世の中ですごくネガティブにうけとめられていたんでしょう。そういう時に、さんまさんと2時間ドラマで共演しました。そこから『からくりTV』に出演することになったんです。バラエティには出たことがなかったのに、それから20年続きました。さんまさんが私の素の明るい笑えるところを引き出してくださったおかげだと思っています。私は人の縁に助けられていますね」
そんな人の縁で、50周年のトークイベントも開催されることに。
「2月15日、東京・有楽町I’M A SHOWで清水ミチコさんとイベントをやらせてもらうことになりました。ニッポン放送の檜原社長が『ミッちゃんとは相性がいいんじゃない』と言ってくださって。そうだなあ、と、気持ちが盛り上がってきました。もともとはそんなにイベントとかやりたい方ではないんですけどね。トークがあったり、サプライズでゲストが来てくれたり、ほんわかな、あったかい感じになればいいなあ。歌もあの曲とあの曲、2曲だけ歌いますよ! あ、歌詞をもう一度憶えなおさなきゃ」
久しぶりの浅田さんの歌声も楽しみです。清水ミチコさんとなら、楽しいトークになることも間違いなさそう。
「ミッちゃんと、MISIAの3人で舞台を見に行ったり、ご飯を食べたりします。ミッちゃんは、私がメッセージにハートマークをつけると、げっ、って返すんですよ。だから20個くらいまたハートマークを送ったりして(笑)。まあでも、今回のイベントはミッちゃん頼みです!」。