Tamaさんは、一度このスペシャルインタビューに登場してくださった広田圭美さん。一度はメジャーデビューした経験をもっていますが、やはりYukiさんも3人組のバンドで活躍していました。
「マリンバ2台とパーカッションのクラシック寄りのバンドをやっていました」(Yuki)
TamaさんはそのYukiさんのバンドも観たことがありましたが、もっと彼女のキャラクターが出せるのではないか、と感じていたそうです。
「遊んでいるときのはっちゃけたり、ちょっと斜めにものを見たりするYukiちゃんの感じがない。そのバンドでは良い子すぎるかな、と思っていたんです。彼女はもっと前に出てもいいし、彼女が生きる曲が私は作れると思った。もちろん、227で失敗した曲もありますが、基本的には、二人のそれぞれの個性が生きるユニットだと思うんです」(Tama)
Yukiさんは、そのTamaさんの想いを、曲で存分に感じとりました。
「最初に『227show time』という曲を作ってくれて、スタジオでセッションしたときに、ヤバいな!と。曲がカッコ良すぎるし。アドリブ合戦ができるし。長年、いろいろなところでセッションしてきましたが、基本はやっぱり曲に合わせるという感じだった。でもTamaちゃんと組んだら、私に合わせて曲を作ってくれるから、もう楽しさが、なんと言ったらいいか、わからないくらい。衝撃でした!」(Yuki)
嬉しくなったYukiさんは積極的にいろんな打楽器を集めてきます。
「今日使った、バードコールは、八ヶ岳の土産物屋さんで見つけたもの。小鳥の鳴き声が作れ呼び笛のような。あと、細長い木でカチャカチャ鳴らすこれは、ボーンズ、と言って、本当は牛の肋骨でできているものなんです。こういうのをやってみたい、とTamaちゃんに聴かせると、それに合う曲を作ってくれるんです」(Yuki)
繋がっていない、バラバラの木を両手に2枚ずつ持ち、カスタネットのように器用に響かせます。
この日のセットはカホンとジャンベを基本に、レインスティックなども登場。色とりどりの音色がパーカッションってこんなにバラエティ豊かな楽器だったのかと思わせてくれました。
二人の共通点は、もともとクラシックをやっていて、今はジャンルレスな音楽をやっているということ。
「アドリブをやりたかった、というのはあります。それが全てではないけれど。もともとはクラシック出身だということを、ちょっと前まで言わないようにしていたようなところがあります。
自分で勝手に卑下してたのかな」(Yuki)
「こいつ、クラシックしかできないな、と思われたくなかった。アドリブができない自分が嫌だったから、Yukiちゃんとは自由にアドリブができてすごく楽しかった。音楽で会話できるのが本当に楽しくて。喧嘩をしていても、音楽をやれば仲直りできるんです」(Tama)
二人で奏でることで、湧き出てくるものがあったのでしょう。Yukiさんも、同じ気持ちでした。
「欲しいな、というところに音がくるし。いろんなジャズのセッションにも行って鍛えたんですが、ユニットとなった時は、求めてるものが最終的に一緒になった方がいいし。それにTamaさんは抜群に上手いし、オリジナルも書けますから。そのオリジナル曲も、とても情景が浮かぶんです。同じイメージでパーカッションがつけられる。それは、Tamaさんと同じ風景を見ることができているなということなんです。説明がいらないんです。そういう人は、いそうでいない。自分の弱みすら感じなくなるんです」(Yuki)
Tamaさんも、Yukiさんのパーカッションをとても大事に思っています。
「Yukiちゃんの精緻さ。小柄だけどめちゃくちゃ手が回るから、派手になる。負けん気の強さが出てるところもね。ストレス発散で叩いてるんちゃうかと(笑)」(Tama)
二人がお互いの良さを認めて、ニコニコと微笑んで演奏するからこそ、聴いている人たちも心地よくなれるのでしょう。
「最初は笑う余裕がなかったんですよ。譜面通りに表現することに必死で…。よく言われるんですよ、お客さんにも『笑うようになったね』って」(Yuki)
以前のインタビューにもあるように、一方のTamaさんには、メジャーのプレッシャーに押しつぶされた時代もありました。
「私はね、メジャーのプレッシャーもあったし、体も壊したし。でも楽しくなかったらやめよう、と、その時決めたことが大きいかも。それが自分たちのルールでもあるんです」(Tama)。