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    第246回:赤澤岳人さん(WOW!コンセプター、OVER ALLs代表)

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《2》8年間で250作品以上。売り込みは一切なし

 最初は注文を受けてポートレート、肖像画から始めた会社でしたが、描く場所がどんどん大きくなっていきました。

「壁画を事業にしたのは、成り行きですね。ただひとつひとつのご依頼に全力を尽くしてきました」

 これまでに手がけたのは、8年間で250作品以上。
 近年では鹿島アントラーズの本拠地、鹿島サッカースタジアムにクラブの象徴を。
 2023年に開業した新球場、エスコンフィールドHOKKAIDOにはダルビッシュ有選手と大谷翔平選手、オーナーや歓喜に沸くファンの姿を描きました。これはもう肖像画という一言にはとどまらない、壮大な時間と空間を描いた絵です。

「多分、壁画というジャンルでこれだけの数のものをやっているのは、うちが一番だと思います」

 驚くのは、自分たちから売り込んだことはないということ。

「『壁画、いりませんか』と言われても、よくわからないじゃないですか(笑)。だから売り込みようがない。ただ、最初にやったのは、肖像画を1枚4万円で描きますよ、ということでした。4万円というのは、企業のご祝儀によく使われる胡蝶蘭の3本立てと5本立ての間の値段。(笑)あれはあれで素晴らしい文化だとは思うんですけど、最後片付けるのも大変だし。それで、営業というほどではないですが、SNSで告知していました。それをやっているうちに『壁にも絵、描けないですか』と言われたんです。後で山本と話していていも、あのとき『描けます!』ってなぜ言ったのかわからないという。目の前のことに全力で来たというのは、そういう感じなんです」
 描きます、と言ったからには、喜んでもらえる良い作品を。そして写真ではなく「絵であること」には深い意味がありました。

「写真なら、アプリで加工できる。でも、人が描くということは、人と人が向き合っていたということなんです」。

赤澤岳人さん

《3》個人に人生観があるように、会社には企業理念がある

 赤澤さんは「人と人が向き合う」ことを何よりも大切にしてきました。

「起業したとき、絶対にやらないことを決めました。一つはシェアオフィスを借りない。ちゃんと事務所を構えるということですね。それから、合同会社にしない。ちゃんと株式会社にする。 携帯電話だけにしない。ちゃんと固定電話を引いて、東京03と、大阪06を名刺に入れる。これは相手に対して自己開示して、アートって怪しいかもしれないけれど、僕らは安心です、というのをまず示したんです。その上で、いろんな方を迎えて、お話をちゃんと聴いて、その上で絵を描く、という順序でやってきました」

「肖像画を描いてほしい」という人のなかには、その理由や自らの人生を語り始めて、泣き出す人もいたそうです。

「肖像画がほしい、という人は、タトゥーを入れるような気持ちを持っているのかもしれません。誓いとか、決意がきっかけになっているから、そういう人のお話にはいろんなものが含まれている。そうすると、会社に絵を描いてほしい、という場合も、いろんな思いがあるはずです。だから、なんで今、この会社に絵が必要なのかもっと聞かせてください、と。個人には生き方や人生観があるし、会社には企業理念があります。その企業理念を絵にするということにどんどん入っていきました」

 企業理念をアートにして表現していくこと。結果的に、それがビジネスになっていきました。

「それをやることによって、その会社の人たちがハッピーになるといいなと。やってよかった、と意味を感じてもらえることが大事ですよね。世の中のためになることをちゃんとやっていたら、誰かが見てくれるという。僕らがそうやって社会の役に立つことで、アーティストは社会にとって存在意義があるということ、必要な職業なんだということを示し続けることが僕らの唯一の営業手法と言っていいかもしれません」。

赤澤岳人さん

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