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    第252回:木原瑠生さん(俳優、シンガー)

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《2》明治時代の師範学校の教師と共通する自分の性格

 刀の精を演じてきた木原さんが、今度は生身の人間を演じる。それも時代は明治。悪童会議第3回公演「見よ、飛行機の高く飛べるを」という舞台だ。

「ちょっとおどおどしたところのある先生なんです。過去にいろんなことがあって。その過去から少しずつ立ち直って、女子師範学校の先生になる。いろんな生徒たちと出会ってちょっとずつ明るくなっていくんです。でも今の常識とはまったく違う部分がたくさんある時代の話なので、気づかされることが多いですね」

 日本で初めて女性解放運動をした思想家、平塚らいてうを題材にした師範学校の話。木原さんが演じるのは自由を求めていく女子たちの葛藤と純粋に向き合う先生だ。

「女性も自由であるべき。でもどうなんだろう。どう接していけばいいのか。この先生にはそういう葛藤があると思います。人間って、本当に一瞬一瞬で、いろんな判断をしなくちゃいけないし。いっぱい動く役でもあるので、それはすごく楽しいです。この2年ぐらいは、一つの作品で同じ役を演じることが多かったので、今回はすごく新しい挑戦なんですよ」

 明治時代の教師の立場を想像するのは、難しいようだけれども、一方で理解はできると言う。

「ちょっと悩み方が、僕と似ているところがあるというか。もしかしたら、僕もこの立場ならこうするだろうなと思ったりするんです。それに、むしろ現代の方が、生きづらいかもしれない」

 舞台で明治を演じることで、見えてくる、現代の生きづらさ。それを彼はこう語る。

「日本人の考え方、というものが絶対的にあるんですね。だからそれは違う、という意見が出てくるのもどこか当然な気がするんです。難しくはないと思う。でも、今はもっと考え方って多様化しているでしょう。いろんな人の考えが認められる時代だと思うので、それによって派生してくるものもたくさんある。だから、いいことも悪いことも発信されてしまったりとか。いろんな情報そのものが力をもってしまう。昔の方が、情報ではなく人間の力で生きていたという気がします。その人間が発する一瞬の力が、ものすごく大きかったと思うんです」

 木原さんは「生身の人間の発する力」というものをこの2年ほどの間に思い知ったのかもしれない。今回の舞台で、そんな彼の発するセリフが楽しみになってくる。

木原瑠生さん

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