木原瑠生、は本名だ。
「母親が『花より男子』の世代で、花沢類が好きだったらしくて。それで瑠生と名付けたそうです。
でも類ならもうちょっと物静かな感じですけど、僕は全然元気ですね」
子どもの頃からやっていたのは、野球。
「少年野球から中学の部活までは野球をやっていました。どちらもそんなに強いチームではなかったし、規則もそんなに厳しくなかった。中学時代はセンターでした。守るのが好きでしたね。足が速かったし」
東京生まれ、東京育ち。でも、母方の実家は青森だった。
「子どもの頃、青森に行くと、本当に空気が澄み切っていて、緑とか、木の香りがする。自然の香りというのかな、ちょっと冷たい、その香りが好きでした。それで、夜に焚き火とかするんですよね。木が燃える匂いって、なんか好きでした」
土にまみれて白球を追いかけ、母親のふるさとで木々の香りを深呼吸した瑠生少年は、その後、歌うことへと傾倒していく。
「オーディションを受けたりしていました。今の事務所のオーディションで『お芝居もやってみませんか』と言われて、はい、やりますと。やりますと言ったら入れると思ったから。それでもう知らず知らずのうちに。でも、芝居を観てくださった方たちがライブに来てくれるようになって嬉しいです。特に僕はミュージカルが多いので、歌込みで観てもらえますからね」
歌と芝居、どちらにも良さがあると言う。
「歌は自分のライブやMVで、木原瑠生を表現できますから。それは楽しい。でも、役者をやっている時は、その役として歌ったり芝居をしたりできるので、それはまた別の楽しさがあるんです」
ファンからは「木原さんのヒール(悪役)も観たい」という声があるそうだが、それには少し慎重だ。
「今まで『光属性』と言われる役が多かったんです。地球を守ったりとか、正統派なヒーローのような。それは一つ、自分の中で大事にしたいと思っています。ヒールの方が、いろんな感情に敏感さをもっていないといけないと思うし、孤独でしょう。けれど 孤独になるって大変だと思うし、もうちょっと大人になってからでもいいかなと思っています」
1日8時間という稽古の前に時間をもらったインタビューだった。「お昼、何にする?」と聞かれてハンバーガーを頼むときの目が、その日一番嬉しそうにきらきらしていた。
「Z世代とか言われるけど、どうですかね。僕はけっこう、言葉で言わなくても顔に出るタイプ。それに、自分の中で裏付けがあることはちゃんと伝えるようにはしています」
純粋さのなかに、やんちゃさのようなものが垣間見える。これからいくつもの違う役が、この人をどんなふうに変えていくのだろう。
●「見よ、飛行機の高く飛べるを」チケット情報
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●「見よ、飛行機の高く飛べるを」公演HP
https://akudoukaigi.com/
スタイリスト:MASAYA
ヘアメイク:Inc.GLEAM
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com