本当に好きなものに向かう。本当の自分を見つめる。そんなふうに考え方が変わるきっかけになったものの一つに、ピラティスがあるという。
「それまで外的な要素で自分を高めようと思っていたんですが、ピラティスに出合ったときに、楽しいことというのは、自分の外にあるんじゃなくて、自分の内側に確かめるものなんだということをすごく思ったんです。そこからカッコつけたりしなくなりました」
それまで、運動とはまったく無縁だった。
「それまで運動はせず過ごしていました。めんどくさいな、と(笑)。30歳になる手前で、ジムに行き始めて。最初はエアロビが面白かったんですが、撮影でピラティスに出合ったんです。これはいい。一生やろう、と思いました。そんなことを考えたことも今までなかったんですが。筋力をつけると、心が軽くなる。一歩踏み出すのがすごく早くなるんです。ムキムキマッチョになる必要はなくて、自分のつけたいところに筋肉をつける。特に足腰は大事ですね」
そういえば、最初に出会った頃の渡辺さんは丸顔でふわっとした印象だった。あるときから、引き締まったスレンダーな印象になった。
もう一つ、自分の気分をコントロールするものに、香りがあるという。アロマスクールにも通ったことがある。
「香りは好きですね。気分転換になるし、もともと人間は薬を植物からつくったりするものだったわけですものね。だから、純度の高いアロマは何らかの予防として使える。例えば、かさかさになっているかかとには、パチュリでオイルを作ってみようとか。安眠にはマジョラムがいいとか。子どもが夏にすごく汗をかいて臭いを気にしていると、ペパーミントとレモンがいいよ、スプレーをつくったり。いろいろと使い分ける感じですね」
今回出版したフォトエッセイ『不機嫌ばかりな私たち』は、更年期にまつわる不機嫌も出てくるが、香りでそれに対策できるものも実践している。
「クラリセージは女性ホルモンに働きかけるそうです。それに、ちょっとジャスミンやイランイランの甘い香りを入れたりする。あとは、私は柑橘系が好きなので、レモン、ベルガモット、ネロリもよく使います」
アロマオイルを熱いお湯に垂らして、吸引するというやり方もお気に入り。
「喉が痛かったり、鼻が通らないなというときに、熱いお湯にティートゥリーを垂らして、吸引するだけで、すごくスッキリしたり、気分が変わったりします」
渡辺さんの心身をサポートするものの一つに香りがあるというのは、素敵なお話。真似できそうなのもありがたい。