興味のあることにとことんのめり込み、やがて趣味から始めたことが仕事にもなってしまうことがある。とよた真帆さんはいつも一生懸命なのだ。
特に、今なんとかしたいと思っているのは「水石」という日本の伝統文化を広めることだ。
「水石(すいせき」は、自然の石を観賞する芸術なんです。 今の『水石』のもとは日本では800年以上続く伝統文化で、海岸や山中で拾った石を盆の上に載せて見立てる。平安絵巻や戦国時代の文献にも残されているようです。掛け軸、盆栽、水石の三つのしつらいでお客様をもてなしたり、四季を表現したりするんですね。私はもともと水晶が好きだったんですが、だんだん『水石』の世界に入り込んで、もう20年以上になります」
それがまた仕事にもつながっていった。石を探しに行く番組に呼んでもらったり、専門誌で連載をもったり。
「『愛石』という専門誌がありまして、連載をさせてもらっています。今、水石の輪を広げようと、芸能人のなかで石をもらってもらう企画もやっているんです。奥菜恵ちゃんから始まって、この間、平原綾香さんにももらってもらいました。それも私が自分で交渉して伝えています」
なんとか「水石」の文化を伝えたいと、とよたさんは懸命なのだ。
「今、水石協会の重鎮方は年齢がかなり高くなってしまっているんです。だから若い人に広めていかないと。インテリアと言ってしまえば軽くなってしまうけれど、敷居は高すぎない方がいいでしょう。いろいろとボランティアで動いていて、先日は大きな出版社に行ってきました。どこかの美術館に水石の部屋をつくってもらいたいなと思いまして」
水石界の重鎮には、高額で希少な石を何千個ともっている人もいるらしい。
「その人が亡くなって、もしご家族が価値を理解しなかったら、それは廃棄されてしまったりするかもしれない。だから、どこかの美術館に集めてほしいなと思うんです。消えてほしくない文化なんですよ。盆栽は海外からも人気で盛り上がっているんですが、まだまだ知られていないんです」
毎年11月の初旬には、上野の東京都美術館で水石の展覧会は数日は開催されてはいるという。
「盆栽と一緒にです。でも石を愛でる文化は海外にもあるので、何か良い形で広がっていったらいいなと思っています」

いかに趣味から仕事に派生しても、本業の俳優としてのとよた真帆を観たい人はまだまだいる。本人も、長期ロケなどの俳優業をやりたい気持ちが徐々に募っているようだ。
「実は95歳の母と二世帯住宅で住んでいるんです。母は一人で歩けますが、でもご飯は私がつくって、という生活なんです。それを何年もワンオペで続けていて、そんな理由もあって俳優の仕事をセーブしていたというのもあります。長期の舞台もお断りしていました」
きっと大変なこともあるだろうけれど、老いた身内の世話をしていることは、とよたさんのあたたかい微笑みをつくる一つの要素になっているのかもしれない。
「老人は繰り返し同じことを言ったりします。『○○さんはまだ生きてる?」なんてね。でも修行だと思って、答えています」
だが最近、ようやく信頼できるヘルパーさんが見つかった。
「泊まり込みで来てもらえるので、3〜4日の旅番組にも出られるようになりました。長野や高崎なら日帰りで行ったりもします。そそのままじゃもったいないから、途中のドライブインで自分でYouTubeまで撮影したりしてね(笑)」
YouTubeを始めたのは2024年に歌をリリースしたのがきっかけだった。
「黙ってても歌を聴いてもらえないから、週3回YouTubeをアップしようということになって。それでちょっと今年の春は疲れちゃって休んでいたりしましたけれど」
家にはイヌやネコもいる。その世話もあった。
「それもあって、ちゃんとその日のうちに帰れる仕事を増やしていました。家にいるのも好きなんです」。
