過去のパントマイムの先駆者としてはまずフランスのマルセル・マルソーや日本のヨネヤマママコさんを思い出す。この連載では北京一さんも登場している。
が〜まるちょばさんのパントマイムは、他のパントマイムとは一線を画す。
「ストーリーなんです。物語を構築していく。構築していくときに、わかってもらわなければいけないことを動きで説明するんですが、人としての共通認識を利用するんですね。たとえば、木の枝が硬いか、柔らかいかというのを表現するのに、自分の体を木と同化させる。化けさせる。僕が体を硬くすると硬く見えるし、柔らかくすると柔らかく見える。それが共通認識ですね」
しかし共通認識以上に大事なことは「感情」だという。
「根本的に僕が表現するのは感情です。例えば、食べ物に関しては不味い顔、美味しい顔。熱い、寒い。それを舞台上で僕が感じることで、観ている人にも感じてもらう。気持ちに同化してもらうわけです。逆に舞台の人に同化できないと心が動かない。つまり、感情移入です。いい映画、いい舞台は感情移入ができるかどうかです。身体表現なんですが、ダンスとは違うので、一番は自分のメンタルや感情を動かすことが、パントマイムのテクニックの一つなんです」
つまり、が〜まるちょばさんの体が動いているのは、それだけ繊細に心が動いているということなのだ。私たちは体の動きを観ながら、彼の心の動きを追いかける。そしてその世界へと入り込んでいく。言葉がない分、そこに想像力を働かせようとする。言葉がないゆえに、一層深く入り込んでいくのかもしれない。

2020年、東京オリンピック開会式で、競技種目を表すピクトグラムパフォーマンスを演出、披露した。
「僕はあのとき、カメラを回していたんです。最初は制作、演出で、出演者としてのオファーじゃなかったんです。で、引き受けて、こういうふうに作って、カメラで撮って、ライブでやりたい。生で撮ったものを競技場のモニターに移したいと。そこでやっているのも面白いし、映っているものも面白いというものにしました。その制作途中で、誰がカメラを回すんだということになって、僕しかいないね、と」
競技種目は50種目もあった。
「名刺サイズでピクトグラムの絵があって、それを2次元で表現しているもの、3次元で表現しているものにまず分類しました。2次元の場合はカメラを平行に動かせばいいけれど、3次元は立体的に動かさなければいけない。まあ、あれはパントマイムではありませんが、僕が舞台において、演出や構成もできる力がありますよということを知ってもらえたのがよかったですね」
複雑な位置からもカメラを回し、一般のカメラマンには不可能な映像も撮れたという。
「パントマイムをやっているから、瞬間的に止めるとか、人と違う体の動きができるんでしょうね。撮影の素人だからできたんです。プロはやらない、やれないということもあったんでしょう」
一人でやる舞台だからこそ、演出、構成、見え方、さまざまな場所へ神経を張り巡らせている。それがあの大舞台に全く形で生きたと言えるだろう。
