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  • 第6話 本日のお客様への料理『新生姜と油揚げのごはん』

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🥂Glass 2

 3人は中華街の香港路という路地にある、小さな店にいた。

「お粥を初めて出したのは、ほんまはここやったらしいよ。でも、なんでも美味しいねん」

 幸が、ビニールで覆われた町中華のようなメニューを見せる。ヒトミは周りの人のお皿を見渡して、メニューの中の文字と答え合わせしているようだった。

「あれ、みんな、もつの入ったお粥さん、食べてはるね」

「うん。〆はあれかな。ホルモン嫌いな私でも、あれは美味しいと思う」

 幸が言うと、ケイがへえっと声をあげた。

「ママ、ホルモン嫌いやったっけ」

「うん。大阪人のくせにね。あんまり脂っこいのんとか、消化でけへんでしょ」

「私は若い頃は食べたけど、今はやっぱり、もう脂っこいのん、かなんわ… そやけど、唐揚げはいっときましょうね」

 脂っこいものがダメだと言った端から唐揚げという。大阪のおばちゃんには珍しくない急展開に、幸は吹き出した。

「ほんま相変わらず、ケイちゃんも面白いわ」

「ケイちゃんも、って何気に私も含めましたね。…はいはい、唐揚げはいっときましょう。金運アップやからね」

「唐揚げで金運アップ? そんなことだれが言うてるの?」

「ドクターコパやったかな、ゲッターやったかな…」

「それを言うならゲッターズ、と違う?」

「1人やから、ズ、要らんのんちゃうの」

「いやー、いるやろ」

 テーブルの上の3人漫才は、店の細面の女将が笑いを堪えてオーダーを取りに来るまで続いた。

「ええと、紹興酒、ボトルで」

 女将は「さもありなん」という顔をして、二度頷いた。

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