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  • 第22話 本日のお客様への料理『辛くて甘い人生のようなガパオライス』

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🥂Glass 2

 凛花が帰った後すぐに、少し年かさのいった2celloがやって来た。
 佐伯洸と岡部良介である。

「いらっしゃいませ」

 幸が声をかけるよりも早く、倒れ込むように二人は椅子に座った。

「ビールちょうだい、ビール」

「はあい」

 COEDOの茉莉花という緑のラベルを、幸は手にして栓を抜いた。それぞれに、グラスに注ぐ。

「おつかれさまです。練習ですか」

「ああ… 乾杯」

 ふう、と肩を落としていた良介も、佐伯に乾杯と言われてグラスをあげた。

「ごめんな。…ちょっとは練習して来たんだけどな。やっぱ、もうレベルが違うわ」

 良介はそう言うと、ちょっとグラスに口をつけて、お水ください、と言った。

「あ、岡部さん、まだアルコールあんまりダメですよね」

「まあ、1杯くらいは」

 佐伯はグイッとグラスの半分ほどをあけ、口元を歪めるように微笑んだ。

「長いこと弾いてなかったんだからしょうがないよ。お前ならすぐ追いつくよ」

「いやー」

「そうだ」
 佐伯は思いついて言った。

「なんか目標があるといいから。大晦日に、ここで二人でコンサート、やらないか。…いいよね、幸さん」

「え…ええ! もちろん」

 急な問いかけに戸惑いながら、幸はとても嬉しかった。大晦日に佐伯の弾くチェロを聴けるなんて最高だ。

「ええーっ。無理だよ…」

「無理じゃないよ。奥さんだって喜ぶよ」

「…」

 恭仁子、と言わず、奥さん、と言った佐伯の心遣いを、良介も幸も感じていた。
 二人に顔をじっと見られて、良介は顔を前に向けたまま、視線だけ落とした。

第22話 本日のお客様への料理『辛くて甘い人生のようなガパオライス』

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