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    第17話 『未知のマリッジブルー』

《3》

「ということになってぇ、秋分の日の連休に、そっちへ帰るから」

未知が母親に電話すると、母親はわかった、と言いながら、一言余計なことを言った。そこが未知に受け継がれたところだった。

「写真見たよ。細い人だね」

こまい、という言葉は、背が低いという意味でもあった。

「うん。…お父さん、どうって」

「お父さんは、未知がそんなえらい家の人に見初められて、って驚いとった。何でもてなせばいいかね」

「おかあさんのご飯がおいしいよ」

「そっかなあ、田舎料理だけど」

母親は憎まれ口を言いながらも、本当に嬉しそうだった。幸はテーブルいっぱいの料理を思い浮かべて、にやにやした。
  家族が喜んでくれるなら、この結婚はいいのかもしれないと思った。

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