香りを空間に使うようになったのは、20世紀初頭のことだとか。これは、ルームフレグランスが技術的に高いレベルを必要としたことにも関係しています。
「肌につける香水は、皮膚のなかの分子が香りを捉えて持続させることができます。しかし、空気中では香りを留まらせることが難しかったのです」
なるほどルームフレグランスとは、ライフスタイルをさらに快適にするために香りを進化させたものだったのです。
アリソンさんは、愛される香りを作るためには、常にイノベーションが必要だと考えています。
「それは、香りの重要な要素にトレンド、というものがあるからです。消費者が今、どんな香りを求めているのか。次にどんな香りを求めるのか、私たちはそれに敏感でなくてはなりません。常に売り上げの50%は5年以内に創作された香りであることが、それを物語っています」
1月に発売されたテール・ダグリュームは、まるで美しい場所の良い空気のように爽やかな香り。
「我々はすでに5大陸の50を超える国に進出していますが、その国ごとに人々の香りの嗜好には違いがあり、それに着目することはとても大事なことだと感じています。テール・ダグリュームは、現代を生きる日本人の嗜好をもとに完成させました。ぜひブティックにいらしていただき、この香りを体感していただきたいと思います」
テール・ダグリュームは、軽やかで爽やかな新時代の香り。存在感が強すぎない、不思議な香りとも言えそう。これはルームフレグランスの革命かも。
ESTEBANの商品は、自然の環境をできる限り保護するようにも考えられています。
「たとえば、10年前から、アロマ・キャンドルのワックスも100%植物由来のものを使っています。そういった持続的な配慮を開発の段階から続けていくことを徹底しているのです。それはフランスの文化に根差した私たちの志のひとつなのです」
ひとつのキャンドル、スプレー、お香の裏にある、そうした安全と良心が、ブランドの根幹を支えているのでしょう。
アリソンさんと、プリュボーさんの微笑みに、ESTEBANの香りの品の良さと共通するものが漂っていました。
取材・文 森 綾
https://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。
92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
最新著書は、「大阪のおばちゃんの人生が変わるすごい格言一〇〇」
撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com