「カーフレグランス」の存在をご存知ですか。
愛車のエアコン吹き出し口に装着するフレグランスがあります。
湘南に居を構える人気のフィルマーアンドヘアアーティスト、増山大輔さんの愛車はちょっと珍しいキャンピング・カー。こだわりの車で「旅する美容師」を自称する彼は、香りにも敏感です。
仕事も、住む場所も、アドレスは湘南。ご飯を食べるように明け方はサーフィンし、仕事も忙しい。だから増山大輔さんは「旅が好き」。
ここではないどこか、へ出かけるために、ずっと欲しかったのが、キャンピング・カーでした。
「自分で改造する前提で、キャンピングカーを探していました。フォルクスワーゲンのT4を、イギリスのスウィフト社が改造したものを狙っていて。すごく絞り込んでいたのですが、3年前にたまたま、これに出合ったんです」
なぜそのタイプを狙ったのか。それは、その車のスタイルはもちろん、オリジナルで車の底に水のタンクと排水タンクがあることなど、機能性も含んでいました。
「ずっと探していて。よく出合えたと思いますよ。水も使えるし、電気も使えるし、冷蔵庫もある。カセットボンベでコンロの火も使える。天井にボードも積める。この3年で、この車で妻と愛犬と、北海道、九州〜四国〜関西という旅をしました」
長旅では、分厚いマットレスを積み込んでベッドを設たり、快適さを作るさまざまな工夫が。
「旅が好きなんです。また改装したら、次の旅を目論んでます」。
まさに旅する美容師・増山さんは、もちろん、香りにもこだわりがあります。
「好きな香りは漆喰の壁の香り。僕は伊豆大島の出身なんです。子どもの頃は、ファッションやインテリアが素敵な空間が地元にはなかった。それがね、中学の時に素敵なカフェができたんです。そこの壁が漆喰で。独特の香りがするんですよね」
そのカフェには、アロマの香りも漂うことがありました。
「そのカフェで、ある日、サンダルウッドのアロマをたいていたんです。それがなんとも新しい世界を見せてくれたようで。ローズマリー、サンダルウッドといったアロマの香りにはまりました。
空間を変える香りの力を感じたんですね」
香りには大人の世界がある。野球少年だった増山さんは、そこに憧れました。雑誌などで、ファッションやインテリアの情報をいち早くキャッチしていった彼は、部活の仲間から、髪のカットを頼まれるようになりました。
「野球部だから坊主なんですよ、基本は。でも、ちょっと後ろのあたりを残すとか、前を残すとか、人によって似合うことをやってあげたりしてね。卒業して、髪をやっと伸ばせるから、ガレージに集まって僕が自然とみんなのスタイリストになっていたんです」
その後、東京の専門学校へ。名だたる美容院へ就職し、めきめきと人気スタイリストになっていきました。
「Dragon Ashのようなヒッポホップとポップスのミックス、ビジュアル系ロックバンド、裏原系など、さまざまなカルチャーが現れた時代でしたね」。
今回、愛車のエアコンの吹き出し口に彼が選んでくれたのは、ESTEBANのカーフレグランス。
「車のアクセサリーって、やりすぎなデザインのものが多いけれど、これはシックでいいですね」
セダー、ネロリなどいくつかの種類の中から「この香りが好き」と選んでくださったのは、「エスプリ・ド・テ」。
「アロマっぽい自然な香りでいいですね。また内装をまっさらにして、空間をやり直そうと思っています。愛犬の導線も悪いし、全体に低くつくろうと」
新しい空間になった車で、風に誘われて次の旅が始まります。
自由な旅が始まるまでに、増山さんの創意工夫は余念がありません。
photo by Yumi Saito
http://www.yumisaitophoto.com/
Text by Aya Mori