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愛読者様ご招待イベント-鎌倉・鬼頭天薫堂で「香木を聞く、味わう」
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    鎌倉・鬼頭天薫堂で「香木を聞く、味わう」

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 ローンチから8年。「人と香りをつなぐwebマガジン」というコンセプトで、たくさんの読者の皆様に親しんでいただいているフレグラボ。(fragrance lab、フレグランスラボの愛称です)
 6月29日、鎌倉、小町通りにある鬼頭天薫堂で、愛読者の皆様から抽選で選ばれた方々に「香木を聞く、味わう」イベントを開催しました。
 梅雨の晴れ間の昼下がり、「香木」のなんとも奥ゆかしく豊かな香りに満たされ、幸せな時間になりました。

『日本書紀』に始まる、脈々と続くお香の歴史を味わう

 小町通りは観光客がたくさん訪れていますが、少し奥まったところにある鬼頭天薫堂は、閑かな佇まい。2階にある、椅子席の香の間に、選ばれた方々が集まりました。
「香道」というこの聞香の会は、鬼頭天薫堂で有料で不定期開催されています。案内役は、株式会社香十天薫堂相談役・小林正人さん。香木の楽しみ方を知る方です。

 まずは小林さんから、お香の歴史が語られました。

「595年4月、淡路島に漂着した香木を、火にくべたところ、あたりが芳香に包まれたことで、人々は大変驚きました。それを朝廷に献上したと『日本書紀』に書かれています」

 その後、奈良時代には宗教的な意味合いで使われることが多かったようです。

「鑑真和上が来日され、仏教の戒律とともに多くの香料原料を日本に伝えられたようです」

 そして今、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の舞台となっている平安時代。お香をたくという習慣が貴族の中で広まります。

「部屋でお香をたくことを『空薫』と言い、生活に組み込まれていきました。また香の配合で香りの優劣を競う『薫物合』という遊びも広まりました」

 やがて鎌倉時代になると、香木は武家で親しまれるものとなり、香木そのものの香りを楽しむものとなったようです。

「香木本来の自然な香りというものもありますから。室町時代には、華道、茶道とともに香道も体系化されました。武家の志野宗信が志野流を、公家の三条西実隆が御家流を創始しました。この頃に、今日、聞いていただく『六国』が確立したのです」。

聞香の会の案内役は、株式会社香十天薫堂相談役・小林正人さん。

6つの香りを聞いた後、本香の香りを当てたのは・・・

 『六国』は、その香木の産地となる木所の名前がついている、香道の基本の香りです。ただし、伽羅だけは産地名ではなく、インド語で「芳香」の意味なのだそう。

「六国は、伽羅、羅国、真南蛮、真那加、佐曽羅、寸門多羅のそれぞれの香りが、五つの味で表現されています。佐曽羅だけが白檀です」

 さて、いよいよ、参加者の皆さんが電子香炉に数ミリの香木を置いて、香りを聞きます。
 「香道」です。

電子香炉に数ミリの香木を置いて、香りを聞きます。

「電子香炉と香炭団でたく香炉の違いは、電子香炉はピンポイントで香りをすくい上げる。香炭団たく香炉は全体をふわりとすくい上げるようなイメージ。後ほど、香炭団たいたものも聞いていただきますね。香炉の温度は何度くらいがいいのか、それを見極めるのも香元の仕事です。香木が発する言葉を聞くのです」

 伽羅は辛みのなかにもほのかなキャラメルっぽい甘さがある、なんともふくよかな香り。

「伽羅から聞いてもらうのは、やはり一番の芳香だからです。そこから二炉、三炉と聞いていただき、それぞれどんな香りだったか、ご自身の言葉でメモしてください」

 一つの香りを三息で聞きます。参加者からは「自分の語彙がなさを感じます」といった声も聞かれましたが、初めてでは仕方のないこと。何度か体験すれば、おそらく香りをどう言葉にするのか、だんだんと言葉が生まれてくるのでしょう。大切なのは、香りを言葉にすることを楽しむことなのです。

 6つの香りを聞いた後、いよいよ「本香」。
 試行した6つの香りのなかの、1つだけがたかれます。それが何かを当てるのです。
 皆さん、真剣な表情です。

真剣な表情で香を聞く参加者の方々

「本香は、真南蛮、です」

 真南蛮は、インドの東岸、マラバルに漢字を当てたもの。油分が多く、独特の涼しさ、酸味があります。さて、見事に当てたのは、9人中お二人いた男性でした。奥様とご一緒に初めて参加された男性は「素晴らしい。筋がいいですね」とほめられて、ちょっと照れくさそうでした。

 この「香道」にはいくつかルールがあります。

「特に香の良し悪しを語ってはいけません」

 出されたご飯を不味いと言うようなものでしょうか。

 会の最後は「香、満ちました」という挨拶で締めくくられます。

 最後に、鬼頭天薫堂の「鎌倉五山」という線香も、香炉でたいて聞いてみます。普通に火をつけるより、柔らかく感じるのが不思議。お線香も、好きな香りなら、お部屋でたいてもいいものです。
 お土産にはやはりのオリジナルの名香、鎌倉にちなんだ「北條」が配られました。
 案内役を務めた小林さんは、こんなふうに語っています。

「参加頂きました六国体験会はまったくの手作りで、数年かけて今の形にしました。まだ手を加える必要があると考えております。お聞き頂きました六国が主役ですので、何とか形になっているのが現状です。私の課題は一人でも多くの方に、本物の香りを知って頂くことです」

 本物のお香ならではの、空間の意味さえ変える豊かさ。さまざまな形、場所で、ひととき日常を離れるこんなイベントを、また皆様に味わっていただきたい。
 フレグラボのスタッフは一同、そう考えています。
 またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。

鬼頭天薫堂の「鎌倉五山」

鬼頭天薫堂の「鎌倉五山」
『鬼頭天薫堂の体験会』
様々な香りを楽しんで頂く鬼頭天薫堂の体験会です。


photo by Yumi Saito
http://www.yumisaitophoto.com/
Text by Aya Mori

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