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    第2回 大橋マキさん(アロマテラピスト)

ハーブを通じ、町中を家族にするコミュニティを

大橋マキさん③

アナウンサーを辞めてからは、本格的にアロマテラピストとして活躍し始めたマキさんは、お年寄りの多い病院で働いたことも。
ミラノに行く前のマキさんは、葉山町に働きかけ、ハーブを通じたコミュニティも作ってきました。

「最初は介護者のためのアロマの講座をやったりしていたのですが、単発ではなくて、継続的に畑を一緒に作ったりするほうがいいと思ったんです。介護をしている人、子育てをしている人と一緒に土を触り、かまどでご飯を作って食べる。町をひとつの大きな家族と思えば、お年寄りといることも、子育てをしていることも、助けあえるんじゃないかと」

ミラノにいる今も、その活動は地域の人たちに受け継がれています。

「一緒に活動しているセラピストや地域のママたち、デイサービスの方々、デイサービスのご利用者さま、皆さんが、現場を続けてくれています。私は海の向こうから、毎月のオレンジカフェ(認知症の人たちが集まるカフェ)や畑ワークの調整や企画役を担当しています。
 密に連絡取り合っているせいか、”時差がない””国境がない”なんて冗談にして笑ってくれる仲間たちに感謝、感謝です。先日、一時帰国時に、オレンジカフェと子ども向け認知症サポーター養成講座、畑でハーブのお花摘み作業とちらし寿司会を開催しましたが、久々に現場参加でき嬉しかったです」。

ファームでは、認知症や脳機能障害の方にも、アロマテラピーが効果的だと思えることも実際にあったそうです。

「栽培しているホーリーバジルというハーブのお花は、とても清らかで爽やかな甘さのある香りなのですが、お花摘みの季節には辺りいっぱい風に乗って香りが漂うくらいなんです。脳機能の影響で嗅覚がやや衰えてしまっている方も、”私は味はわかるのよ”と香りを味覚から楽しむ方も…。また、ホーリーバジルのお花をフレッシュのままお水にいれただけで、芳しいお水になるのですが、オレンジカフェでも”爽やか!”と、声が上がります。そこから会話の花が咲いたりするのも香りや植物のステキな魅力ですね。在宅介護中の方にリラックスしていただく施術もしています。お疲れにはタッチングが喜んでいただけますが、香りが加わるとリラックスの度合いが格段に増す気がします」

アロマの香りは、介護する側にもされる側にも必要なようです。
たとえば、血縁関係だけでは、時に近すぎて見えなくなってしまうものがあるのも事実。

「親子では時には憎たらしく思えちゃうことも、ちょっと風通しのいい距離から、違う風を入れる感じのことが出来ないのかな?…などと思うのです。このあたり、病院へアロマセラピストとして出入りした時に抱いた感覚と、似たものがあります。医療従事者でも家族でもないセラピストがアロマを携えてお邪魔するとなにか、ふわっと空気が変わる感じがありました。まさに、風を通す感覚ですね」

人と人との心のふれあいの本当に細かなところにまで目を配るマキさん。ソーシャルファームは、来年のマキさんの帰りをまちわびているようです。

「人にはそれぞれ人生の節目があって、家族や子供、親、家庭の様々な都合で生活の変化はあるものなので、活動へ注力できる時とそうでない時も、人それぞれあると思います。それでも仲間たち、お互いさまでサポートしあいながら細く長く…仕事でも家庭でもない、いつでも帰れるみんなのベースキャンプみたいな部分も、ソーシャルファームの魅力かなと思います。こうして今、私も家族の事情でイタリアにいますが、みんなにサポートしてもらって続けられることに感謝しています」。

アロマという形で伝えられるもの

大橋マキさん④

もちろん、家族との日常にも、マキさんのアロマの知識はさりげなく生かされています。

「両親には、認知症予防のアロマの香りのペンダントをプレゼントしました。昼夜で香りを使い分けることに意味があるんです。認知症対策だけではなく、認知症対策だけでなく、昼夜のオンとオフのリズム作りが出来るんですよ」

子どもたちにもご主人にも。マキさんは様々なアロマを使っています。

「花粉症の時期に娘が鼻づまりで辛そうな夜は、ユーカリラディアータを香らせたり、植物油に希釈して胸まわりや背中に塗り込んであげると楽になるようです。冬場、喉から風邪をひきやすいのですが、ティートゥリーを水に一滴落としてうがいをすると、喉のイガイガが消えて風邪をひかずにすみます。
 夫は、出張が多いため眠りにくいようなので、リラックスしやすい香りでピローミストも作ります。その他、掃除など家事にも日々、活躍しています。
 もちろん私自身、石の街イタリアで足元から底冷えするような冷えに、アロマを用いたり、TPOにあわせて自分だけの香水やボディオイルを調合して愉しんでいます」

香水が身近なイタリアのママたちにも、マキさんのブレンドする香りは”どこの香水を使ってるの?教えて!”と言われるほど。

「自分でブレンドしていることを話すと、作ってくれない??と頼まれてプレゼントする機会もちょこちょこあります。人によって同じ香りが違って香り立つのも、天然のアロマならではの愉しさですね!」

来年は帰国を予定しているマキさん。やりたいことがたくさんありそうです。

「そうですね、やりたいことが山ほどあって、どこからやっていいかわからないくらいですが(笑)、ふと考えてみると、すべてこのハーブのソーシャルファーム周辺で膨らませたいことばかりなんですね。単純に、好きなんでしょうね(笑)」。

  1. 2/2

 

取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 川上 尚見 https://www.naomikawakami.com/

撮影場所:ラザーニャラザーニャ
ラザニアとワインのレストラン。
ソースに合わせて生地も変わるというラザニアは、日本一美味しいといっても言いすぎではないほど。 合わせるワインも種類豊富で、イタリアにいるような気分を味わえます。バルとして利用する人も多いよう。

東京都港区北青山2-12-27 デコール青山6階
03-6447-2869
https://lasalasa.caviars.jp/

2016.4.20 written by 森綾
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