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    第8回:大沢伸一さん(音楽プロデューサー)

《2》香りも音も漂うもの。その空間をプロデュースしたい

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大沢さんがこれからやってみたいことは、香りや空間のプロデュース。

「音楽は大好きですが、音楽だけですべてを表現するには限界があると考えています。たとえば、香りのプロデュースもやってみたい。香りって、安心とイコールではないと思うのです。居心地悪いという意味じゃなくて、非日常の鍵になるという意味で」

好きな香りはその香りにしかない、存在感のある香り。

「香りも音楽も再生しないと楽しめないところが似ていますね。そしてどちらも記憶に連動している。この曲を聴くとある場所でのその時のことを思い出すとか、その香りをかぐと誰かのことを思い出すとか。日時まで思い出すことがありますよね(笑)。味覚は日常に密着していますが、聴覚と嗅覚はここにないものにつながっている気がします」

大沢さんの生活には香りがいつもあります。

「お香もたくし、ルームスプレーも使います。僕にとっては音楽に近いものなので、同じ曲を聴いていると飽きるように嗅覚の慣れるので、新しいものを時々取り入れます。眠るときのanmingというピローミストは、本当に気持ちよく眠れるので好きです」

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空間のプロデュースとしては、今回インタビュー場所として使わせていただいたGINZA MUSIC BARもそのひとつ。

「空間をつくるというか、場面をつくるというか。大げさですけど、文化が生まれる場をつくることはこれからもテーマになっていくと思います。現代は、こんなにウエブ上の情報が氾濫しているのに、クリエイターを目指す人たちが何かを得るための場は少ない。受け手側の感覚が鈍らされている時代だと思う。でもひと晩、外へ出て誰かと出会うことで何かが生まれることがあるのです」

もうひとつ、映像との出会いも大沢さんがやってみたいことのひとつです。

「映画音楽をやってみたいですね。映像と合わさった総合芸術を。音楽というのはジャンルでもツールでもなく、ひとつのメディアだと思うんです」

きらきらと少年のように瞳を輝かせて語る大人。大沢さんが新しいものを求めて次へと飛び越えていく感覚を同じ遊び場で共有できたら、きっと日常がいきいきと変わっていく気がします。

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大沢伸一プロフィール

1967年滋賀県生まれ。音楽家、音楽プロデューサー、ベーシスト、DJと様々な肩書きをもつスーパー・アーティスト。93年にバンドユニットMONDO GROSSOでメジャーデビュー。2017年に新譜も発売予定あり。最近のアーティストの楽曲プロデュースでは安室奈美恵や私立恵比寿中学まで幅広い。

http://www.shinichi-osawa.com/

GINZA MUSIC BAR

音楽プロデューサーの小林武史、大沢伸一、コーヒープロデューサーの鳥羽伸博が手がける東京銀座で唯一本格的に音楽を聴かせるバー。ジャンルを超えて厳選された3000枚以上のアナログレコードを最高峰サウンドシステムで聴くことができます。文化が生まれた時代の銀座の懐かしさも漂います。

ADDRESS : 〒104-0061 東京都中央区銀座7-8-13 ブラウンプレイス 4F
TEL : 03-3572-3666 (受付 16:00〜)
https://ginzamusicbar.com/


取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com/


2017.3.3 written by 森綾
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