すっかりポジティブになった小田さんを支えているものに、ヨガがあります。彼女はヨガのインストラクターの資格を取るまでになりました。
「30代後半に体調を崩しやすい時期があって、その時、友人が『ヨガやれば』と言ってくれたんです。体験レッスンに行ってみたら、もうひと目惚れ(笑)。それから導かれるようにのめり込みました」
小田さんのぱーっと開かれたような明るさ、呼吸の深い落ち着きは、今の彼女がとても安定していることを物語っています。
「もともと、田舎育ちで空気が美味しいというのは知っているんですけど、すごく忙しい頃は鈍感になっていたかな。今はヨガを始めて7年ぐらいになりますが、今日のような雨上がりのすべてが洗い流されたような空気はとてもいいなと感じます。感性が研ぎ澄まされて、五感が開いて行く感じ」
五感が開いた小田さんにとって、香りはとても大事な要素。
「お香は毎日たいています。和の香りが好きなので、白檀が多いかな。アロマは檜、イランイランなど。その時の体調によって使い分けています。お香の煙は場を浄化すると聞いて、家中煙だらけにしていますよ(笑)。上品な香りがいいですね」。
仕事が始まり、毎日が楽しくてたまらない様子の小田さん。
「こういう感覚になるのは始めてなんです。10代、20代、30代。大なり小なり悩みの中にいた気がします。まさか40代になってこんな自分になるなんてと不思議。悩みにとらわれなくなったのかもしれません。自分の取り扱い方もわかってきましたし。昔はわからなかったんです。だから10代、20代、周囲にご迷惑をかけたこともありました」
ただ、彼女は芸能の仕事が好きだったのでしょう。
「基本、仕事が好きだった。好きだから続けられたんですよね。長く続けると思慮も育って、環境がつくってくれる自分もある。私が笑うことで、誰かが微笑み返してくれたり、たとえしんどい日々であってもホッとしてくれたりしたら、そのやり取りでもっと頑張ろうと思えます。私はそんなに優しい人じゃないけど、昔よりは優しくなれました」
息子さんの成長も自分を育ててくれていると言います。
「息子は12歳になりました。170センチあるんですよ。彼に教えてもらったことも多いです。しっかりしていて、安定しています。私は43歳で、やっと大人になったんですけどね」
「人に笑顔になってもらうこと」を自然にできるアイドルとしての資質が、まだまだ彼女のなかに輝いているようです。
「これまでやったことのない役柄を演じてみたいです。悪女だったり。新しい私を表現したくてうずうずしています」
自由に自己表現する40代として、生まれ変わった小田茜さんのこれからの活躍が期待されます。大人になったその微笑みを、多くの人が待ち望んでいることでしょう。
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取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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撮影 初沢亜利(はつざわ・あり)
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家として活動を始める。
東川賞新人作家賞受賞、日本写真協会新人賞受賞、さがみはら賞新人奨励賞受賞、2022年林忠彦賞受賞。写真集に『Baghdad2003』(碧天舎)、『隣人。38度線の北』『隣人、それから。38度線の北』(徳間書店)、『True Feelings』(三栄書房)、『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)。
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