物語の中で、アーニャは香りで記憶を呼び起こしていくシーンがあるそうです。
葵さんは、香りを心の切り替えに使っているそう。
「普段、香水はほとんどつけませんが、舞台の公演中はこの香りがしたら今はアーニャだ、というふうに、香水を使います。プライベートではさっぱりしたハーブのような香りが好きで甘いものはあまりつけませんが、役に入って使う香水はフローラルなものかな。舞台のときはいただいたものを使っています」
きっとそのフローラルな香りは「どんなところにも咲ける花」に繋がっているのかもしれません。
他者からは見えないところに役作りはあるようです。香りで気持ちを盛り上げるだけではなく、お芝居に入るもっと以前に、物語の歴史的背景を学ぶところから始まっています。
「私は学んだり調べたりするのも好きです。子どもの頃から本が好きで、悩みがあったときに、架空の物語に助けられてリフレッシュできたり、エンタテインメントに助けられて来たのだと思います。今はそのエンタメ側、物語をつくる側に立っていられることが誰かの助けになったり、励みになったりしたら嬉しい。だから、見ている人に寄り添えるようなキャタクターをつくり、演じていきたいです」
葵さんが架空の物語を演じることへの強い想いが伝わって来ました。
「日本の時代物も、世界の歴史物も、楽しいです。架空に感じること、時空を超えるような物語を演じていきたい。実生活でもいろんなことを経験して、それがまた生きていくと思うし。映像と舞台の比重がどうこうではなく、作品は巡り合いもありますから、いい出会いを次につなげていきたいです」
架空、ファンタジーであっても、観ている人にとってはその瞬間、自分を重ねられる。葵さんはそんな物語を演じられる稀有な俳優として、これからも活躍されることでしょう。
⭐️ミュージカル『アナスタシア』公式サイト
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取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com