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    第217回:中村橋吾さん(歌舞伎俳優)

《4》何をしていても歌舞伎の人だなという香りがするようでありたい

 自分で創作したアートパフォーマンスとしての「創作歌舞伎」を様々なイベントで見せていく。コロナが明け、橋吾さんは自分にしかできないことをやり始めました。

「自分の心が動いた歌舞伎というものを、人にプレゼンしていく場をつくろうと。それで見てくれた人の心が動くなら、やりがいもあります。歌舞伎って劇場でないと観られないと思っている人は多いと思うんです。でももともとはストリートでやっていたものなんですよね。その純粋なエネルギー、真髄に気づいてくれた人が、もっと感動して、また劇場への足を運んでくださる。そういった新たな歌舞伎の入り口を作るのも、私の歌舞伎への貢献かなと思っているんです」

 

 「創作歌舞伎」は、10分程度のショートストーリー。しかしそのテーマはコロナ、戦争、SDGsなど、社会問題です。台詞回しは歌舞伎、出立ちも、見栄などの所作も、立派に歌舞伎です。

「これで商売をしようというのではないんですよ。でも、役立つ者こそ、役者として人の役に立つものをと思うんですよね。社会問題に挑むかぶき者。これをひとつの自身の道標としてやっていくことは、今の時代に刺さるんじゃないかと思って。私の師匠も『挑戦してこい』と言ってくださる方ですから、本当にありがたいですね。人前に出続けることで技術の向上もでき、腕も磨けますから」

 とりわけ、社会問題の中で気になっているのが、平和のこと。

「9月21日は国際平和デーなんです。代々木で、ピースデーというイベントがあって『平和成祈鐘』(へいわになれやいのるはこのかね)という「創作歌舞伎」をやります。竹柴潤一さんという歌舞伎の狂言作者がいて、その彼とコロナ下で一緒に作ったんです」

撮影・小林鉄斎(橋吾さん提供)
撮影・小林鉄斎(橋吾さん提供)

 物語のもとになっているのが『国連平和の鐘』の存在。

「ニューヨークのピースベルといえば、海外の方は平和の象徴と認識して知っている人が多い。でも我々日本人はあまり知らないでしょう。この鐘は、日本製なんです。戦争に行って帰ってきた中川千代治さんという方がその凄惨な体験を伝えようと、使えないコイン、使わなくなった武器などを集めて溶かして、鐘にしたものなんです。そこには『世界絶対平和万歳』と書いてあります。国家、民族、宗教、思想を超えて、平和こそ全人類の悲願であると。おそらく、これは日本という国からではなく、一個人としてやったことなんですね。でも国連はそれを受理して、いまも置いている。そこから生まれたのがこの作品です」

 その鐘が突然鳴らなくなる。物語はそこから始まります。

「鐘の音色を取り戻す。そこで現れるヒーローは、どの話も共通して、松ケ枝虎之助尚秀という人物です。やはり10分ぐらいの物語ですが、1回、こういう作品を全身全霊でやると、身体の中に入るんですね。それを観た人がどう感じてくれるか。いつかこれをニューヨークの国連本部の鐘の前でやれたらいいな。そんなことができたら亡くなった十八代目勘三郎さんはどれだけ喜んでくれるかな。勘三郎さんが初めてニューヨークでの中村座公演に連れていってくれたんですよ。それも私にできる恩返しで、挑戦の一つなんです」

 一方でもちろん、歌舞伎座の舞台にも立ち、名脇役を目指し、自分の役割をまっとうします。

「そこはビシッと。バラバラなことをやっているようで、歌舞伎に全部繋がっていますから。どこにいても何をしていても歌舞伎の人であり続けること。歌舞伎の人だな、という香りがすること。例えば現代劇に出ても、アートパフォーマンスをやっても、そこはかとなく歌舞伎が香る。先輩たちの芸にはそれがあるんですよ。私もそれをまといたいし、伝えたい」

 成駒屋の若い役者たちにとっては、頼れる兄貴。

「9月12日、13日は『第二回神谷町小歌舞伎』の2回目にも出ます。成駒屋の3兄弟による自主公演です。ぜひいらしてください」

 芝翫の息子たち、中村橋之助、福之助、歌之助の3人を支えて、一緒にInstagramでインスタライブをやったりも。橋吾さんのエネルギーは温かく彼らを包み込んでいます。

中村橋吾さん

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中村橋吾さん

六本木トリコロールシアター
~ドラマ・リーディング~
ギィ・ホワシィ作 『 動機 』

8月10日(土)、11日(日)、12日(月・祝日)

登場人物は女2人。
銃を構える女と、銃口を向けられている女。
迫る女と怯える女、
2人の女の会話の中から徐々に、
物語の真相が見えてくる。
そして、衝撃の真実へとたどり着く、、、。

-翻訳-
利光 哲夫

-演出-
白樹 栞

-出演-
真凰つぐみ
坂野真理
中村橋吾

-音楽-
玲兎

-照明-
佐藤江未
井脇英成

-企画製作-
Société Le Théâtre Elysée

公式サイト
http://tricolore-theater.com/

協力:吉本興業株式会社
会場:六本木トリコロールシアター
東京都港区六本木6-8-15
TEL:03-3796-7771

-著作権代理-
フランス著作権事務所

●チケット価格
前売り 7,800円
当日  8,300円
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000114292.html


中村橋吾 後援会ホームページ
はしごだん
https://845dan.com/profile/

中村橋吾の情報サイト
https://lit.link/hashigo


取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com


2024.8.9 written by 森綾
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