物心ついたときから、絵を描いていた。
「小1のときに扁桃腺で1ヶ月入院して、そのまま長期間、学校に行けないことがあったんです。家族が紙とペンを用意してくれて、ひたすら絵を描いていました。描くと褒められて。嬉しくて。でもあまりにも誰も『学校に行け』とは言わないので、自分から行くようになったんですよ(笑)。行き始めたら、もう大学を卒業するまで皆勤賞でした。私にとって絵はコミュニケーションツールになった。友達もできました」
10代でその美しさも開花してモデル、タレント業も加わる。
「絵を描くのは一人ですから、モデルやタレントの仕事は、チームでやるのが楽しかったんでしょうね。でも今はもうずっと描いてます」
描くことが嫌になることはないのかと尋ねると「ありますよ…」と即答した。
「何枚か下描きをして、これでいこう、という1枚に辿り着くまでが長くて」
そんなときに、香りに助けを求める。
「枕に檜のチップが入っているので、わーっと顔をうずめたりします! ハーブやウッド系が落ち着くんですよ」
気分転換をしながら、描く、描く、描く。
大きな夢もある。
「世界中の厳選されたトップギャラリーや現代アーティストが出展し、数万人ものコレクター、美術関係者、アートファンが集まる、バーゼルというメガイベントがあるんです。そこに出せる作家になりたいです!」
人と関わり、その感情をまた絵に込めることができる倉中るなさん。ソーシャル・アーティストという方向性も、作品にさらなる深みや彩りを与えていくことだろう。世界に羽ばたく日もそう遠くないかもしれない。
アーティスト・サイト
https://www.geek.art/artists/runa-kuranaka
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com