ラジオのスタジオは、密閉された空間。だからこそ、香りは大切だとまりさんは考えています。
「前の番組のDJが長時間しゃべっていたスタジオは、やっぱりその人の匂いがします。男性だと特に(笑)。だから、ある時期から、私はアロマをたくようになりました。冬だと加湿器にエッセンシャルオイルを垂らすことができるタイプを使ったり、下から熱を加えるアロマポットを使うこともあります。香りはハーブ系をブレンドしたものです。デパートのアロマコーナーで『どこで使われるのですか』『よくしゃべるところで』『何人ぐらいで?』『1人で… 緊張もします』といった謎かけのような問答をして(笑)、ブレンドしてもらいました」
そのハーブの香りは、昔、旅した記憶にもつながっています。
「スコットランドのエジンバラによく行っていた頃があって、B&Bのお化粧室で、なんとも言えない和めるいい香りがしたのです。そこの奥さんがその家のハーブで作ったスワッグの香り。なんの種類なのかよくわかっていないのですが、そのときの香りが私の好きな香りの基準になっています」
エキサイトした気分や、緊張する気分、疲れた気分。それらすべてを和ませてくれるような香りこそ、まりさんが求めるものなのでしょう。
「DJという仕事を辞めようと思ったこともいっぱいあるけれど、今はその瞬間を具体的には思い出せないのです。嫌なことは忘れるタイプなので。続けていくこと、積み重ねていくことが好きなのかもしれません」
落ち着いた低めの彼女の声は、まさに私たちを和ませてくれるハーブの香りのよう。これまでの人生のすべてがブレンドされて、いい香りです。
PRIME STYLE SATURDAY番組BLOG
Joshin Joyful Feelin'[8.16 fri]
PRIME STYLE SATURDAY番組BLOG
Martin Times - It's a Beautiful Day -[8.17 sat]
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 堀俊也