宝塚歌劇を退団した後、安奈さんは大病も患いました。
「もともと丈夫な子どもではなかったし、13年間、体を酷使したのですね。当時は肝炎といえば全部A型とされてしまって、ちゃんとした薬もなく、劇症肝炎にまでなってしまったのです。何年か前に特効薬ができてそれは完治しました。母と同じ膠原病も患いました。薬と追いかけっこの人生ですが、医学の進歩はありがたいものです」
しかし昨年、東京・紀尾井ホールで、安奈さんの朗読劇を拝見したのですが、舞台の安奈さんはそんな病気をされた方だとは微塵も感じませんでした。
彼女を支えているのは、歌うこと。
「歌っていると幸せ感があります。私から歌をとったら、何も残らない。生きて幸せに感じることをすべて歌にしています。でも聴いてくださる方がいてこその仕事ですから、早く世の中が安定してほしいですね。私は元気でいる限り、歌い続けていたいです」
リフレッシュしたいときはミント。寝室はジャスミンとオレンジをブレンドしたような香りを漂わせているそう。
「月1回のボイトレ。朝はラジオ体操。元気のためには真面目にね」
自分の心身とまっすぐ向かいながら、歌い続けていく。
爽やかでどこかちょっぴり照れがある、舞台の上ではない安奈さんの笑顔が素敵でした。
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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撮影 ヒダキトモコ
フォトグラファー。日本写真家協会(JPS)、日本舞台写真家協会(JSPS)会員。
米国で幼少期を過ごす。慶應義塾大学法学部卒業。人物写真とステージフォトを中心に撮影。ジャケット写真、雑誌の表紙・グラビア、各種舞台・音楽祭のオフィシャル・フォトグラファー。官公庁や経済界の撮影も多数。
https://hidaki.weebly.com