スポーツマッサージの要素を取り入れ、アロマテラピーと融合させる。
軽部さんはその二つを一体化させた「スポーツアロマ・コンディショ二ング」の道へと踏み込んでいくことになりました。
「日本のアロマテラピーはリラクゼーションやエステティック的に捉えられていますが、もともと、ヨーロッパでは医学。フランスで開催される自転車の大会、ツール・ド・フランスでは、選手はアロマオイルでマッサージされている選手の姿が映像で見られますが、当時の日本ではまだ少なかったのです。マッサージで筋肉や関節の動きをしなやかする一方、アロマの香りによって、脳の動きや自律神経を解放する。スポーツアロマテラピーは同時にその二つを叶える理想的なトリートメントなのです」。
プロテニスプレーヤー、プロ野球選手、プロ自転車選手…。軽部さんのところへ通うアスリートは多種多様ですが、一般の人よりも香りに敏感な方が多いのではないかと感じるそう。
あるとき、こんなことがあったそうです。
「あるプロ野球選手が来店した際、その左の腕に気になるアトピー性皮膚炎がありました。
本人はそれより『肘の痛みをとってほしい』との要望でした。通常関節などの痛みにはジンジャーを使うことが多いので、2回目までの施術にジンジャーを使いましたが改善の兆しが見えませんでした。ご来店3回目の時、選手との会話から『もしかして肘の痛みは心の痛み?!」ではないかと思い、ローマンカモミールの香りを嗅いで頂くと『カモミールは今の自分の中にドンドン入ってくるのを感じます。』と言い、表情も明るくなり本来であれば眠たくなるカモミールの香りで彼はぐんぐん元気を取り戻したのです。
腰痛などもそうですが『痛み』は心の痛みであることも多いのです。
現在は自身のアレルギーもほぼ完治したという軽部さん。
「一番ひどかったときは10個あるパッチテストのうち、9個アレルギー反応が出ていたのです。でも今は、検査上では、0になりました。
それでも、海外出張の後など、疲れていたりするとアレルギー症状が出る時があります。そういうときは自然由来のサプリメントを取ったり、アロマオイルの力を借りしっかりと休みます」
もはやアロマは生活のなかの恒常的な匂いとなっていて、自身自身のためにアロマテラピーを利用することは少なくなりました。
「アロマ=仕事の匂いになってしまってやすらげないですね(笑)。しかし、アロマオイルをほぼ毎日使っているおかげで、私の免疫力はかなり強化されていると思います。免疫力は自然と底上げできるんですね」
日頃、もっとも心がけていることは、野菜をたくさんとる食生活でデトックスすること。
「肉とか魚を1としたら、野菜は10食べるのが理想だそうです。なかなか難しいですけれど。私はハンバーグのときにも半分お豆腐を入れます。午前中はごはんを食べて、小麦粉は減らして、なるべく添加物や人工香料などを食べないようにしていても現在の生活の中ではどこかで必ず食べてしまいますよね。だからデトックスはとても大切。溜めない努力が健康の第一条件だと思います」。
お話を聞いているだけで、元気なエネルギーが伝わってくる軽部さん。
2020年の東京オリンピック、アスリート達へ向けて彼女の役割はどんどん大きくなっていきそうです。
軽部修子(かるべ のりこ)
http://www.sportsaroma.com/■スポーツアロマ・コンディショニング・チーフトレーナー
■【スポーツアロマ・コンディショニング】【自転車選手のためのアロママッサージ】著者
■日本アロマセラピー学会会員
■順天堂大学院 スポーツ医科学研究科 学位修了
■2014-17年 マウンテンバイクアジア選手権 帯同(JCF強化支援スタッフ)
■2016-17年 マウンテンバイク世界選手権 帯同(JCF強化支援スタッフ)
取材・文 森 綾
https://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
著書などはこちら。
撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com