今、解散したレベッカは「J-POPの元祖」と言われることがあるそうですが、土橋さんはその表現に首を傾げます。
「J-POPという括りの中で元祖的にブレイクした紅一点バンド、みたいな言われ方をすることがあるんだけど、僕はそれは違うような気がするんです。だって、紅一点って言っても、当時、テクノポップではジューシーフルーツや、もっと遡ればサディスティックミカバンドも活躍していました」
土橋さんは、J-POPはここ数年、やっと現れてきたと感じているそうです。
「ここ5〜6年で、やっと本物のJ-POPが生まれてきている気がするんです。今の新しいアーティストは歌い回しとか節回しに、日本語じゃないとできないっていう佳曲が沢山あります。今の人たちがようやく日本語を生かしたメロディを作り出せるようになってきたのかな、と。ラップもそうだし。これが真のJ-POPなんじゃないのか…。新鮮に聴こえますし、刺激を受けます」
ただ、音楽をめぐる環境は、サブスク時代になり、コロナ禍の影響も受け、あまり良いとは言えません。
「僕たちは常に新しいものを探して取りに行く時代だったでしょう。今は情報過多で、耳に入れたくないものまで入ってくる。相変わらず、関係ないことまで入ってきちゃってるんじゃないかな。多種多様になったのはいいけど、これからは選択の時代ですよね。選択することが加速化されるんじゃないですか。情報が氾濫して、議論され淘汰されてゆく。人間は学ぶと次の段階に行きますから。次は集中して、必要なものを入れる時代」
若いアーティストを肯定しつつ、土橋さんは自分の音楽を探ります。
「集中して選択する時代。そこでね、生で感じるものって不滅だと思うんです。ただこのコロナの時代前には配信よりライブだったけど、今は生中継っていう面白さも引き立つ。自分でも可能性があると思うし、突き詰めていきたいと思っています。Sho-ta with Tenpack riverside rock’n roll bandはいろんなことを経験してたどり着いた居心地のいい場所だから。これからも自然に続いていくと思います。」
演奏する方も、ファンも大人。でもライブで思いきりはじけたい。Sho-ta with Tenpack riverside rock’n roll bandには、そんな本物の遊びが詰まっているのです。
AKIO DOBASHI official website : starfish-r.com
solo album「SENRITSU」「SENRITSU TWO」CD発売中
現在、instagram & twitchでライブ配信中。
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取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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撮影 初沢亜利(はつざわ・あり)
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家として活動を始める。
東川賞新人作家賞受賞、日本写真協会新人賞受賞、さがみはら賞新人奨励賞受賞。写真集に『Baghdad2003』(碧天舎)、『隣人。38度線の北』『隣人、それから。38度線の北』(徳間書店)、『True Feelings』(三栄書房)、『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)。
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