世界文化遺産に認定された福岡県宗像の宗像大社、霧島神宮など、永崎さんの描いた大絵馬が奉納されている神社はたくさんありますが、出雲にある万九千神社は、密かに人気のある神社のひとつです。
「万九千神社には面白い縁起があります。出雲大社で神在月に神様が会議をするのですが、その会議の後に『直会(なおらい)』と言って神様が打ち上げをする神社だと言われているのです。ここは平成26年に136年ぶりの遷宮をされ、それを機に大絵馬を奉納させてもらいました。旅立ちを決意したい人、縁結び、あらゆる願いを叶えてくださいますよ」
出雲大社から車で20分くらいのところだそうですので、出雲大社へ行くことがあれば、一緒にお詣りするのも良いかもしれません。
たくさんの神社とお付き合いのある永崎さんは、神社の杜の香りが好きだと言います。
「朝、お詣りすると、空気の香りが透き通っていて、生のエネルギーが満ちていますよね。それを受けるのもいいことだと思うのです」
神社が生のエネルギーだと強く感じたのは、お父様が亡くなって、寺社へ行くきっかけが増えた時でした。
「父が亡くなり、心が弱った時には、神社へ行く事は出来ませんでした。身内が亡くなると50日は神社に入ってはいけないと言われています。神社には死は似合わない。死を思い、亡くなった人との繋がりを感じる際には、お寺の方がいいんですね。古来、神仏混交の日本で、昔の人はこのバランスで生きてきたのではないかと強く思いました。私たち日本人が愛し、支えられてきたこのバランスは本当にありがたいものですよね」
宗教は人それぞれに信仰の自由があります。神道は経典などがなく、民間信仰でもあります。なので信仰を気にせずに、新年、日本の歴史を振り返りながら、改めて行ってみたい神社に参拝するのも良さそう。
永崎さんの本を手に、ぜひ心安らぐ時間を見つけてください。
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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撮影 初沢亜利(はつざわ・あり)
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家として活動を始める。
東川賞新人作家賞受賞、日本写真協会新人賞受賞、さがみはら賞新人奨励賞受賞。写真集に『Baghdad2003』(碧天舎)、『隣人。38度線の北』『隣人、それから。38度線の北』(徳間書店)、『True Feelings』(三栄書房)、『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)。
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