儚げなルックスと甘い歌声には香りが漂ってきそうですが、古内さんは香りにもとても敏感な人です。
「普段は香水は使いませんが、ライブのときはドレスアップもしますし、ふわりと香りもまといます。気持ちをオンにするために香りを使うんです。家の中では、ディフューザーは欠かせません。どちらかというと、爽やかよりもこっくりした香りが好き。生活には合ってないかもしれませんが」
例えば、サンダルウッドの香り。以前『サンダルウッド』という曲も作っていました。
「昔好きだった人の香りが忘れられない。それを嗅ぐと思い出すというような。そういうことは誰しもありますよね」
10代の頃、1年間、アメリカでの留学経験もある古内さんは、その時にこんな経験もしました。
「アメリカにいて1年ぶりに成田空港に戻ってきたとき、味噌汁の匂いがしたんです。ニューヨークの香りは、私にとっては街頭で焼いて売っているプレッツェルの甘いような香ばしい香りでした。ここ数年、外国に行く習慣は途絶えていますが、旅って代用がきかないでしょう。旅でしか得られないものが多いから、絶対にしなきゃいけないことだと思いますね」
旅と音楽と恋。五感をフルにそこに委ねなくては味わえないその3つのもので、古内東子さんという人はできているのかもしれません。
30周年を彩るライブツアーはまだ真っ最中。どこかで、私たちもそのかけがえのない時間を共有したいものです。
●古内東子さん30周年記念コンサート情報
7月2日(土)新潟県民会館 小ホール
8月5日(金)LIVE in the DARK プラネタリウム天空
8月14日(日)神戸 海辺のポルカ
8月28日(日)仙台 誰も知らない劇場
10月6日(木)COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
10⽉11⽇(⽕) 東京国際フォーラム ホールC
●古内東子さん公式ホームページ
https://www.tokofuruuchi.com/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
写真提供:OTOK