初めて見た浅草の新春歌舞伎は浅草公会堂。初舞台は銀座の歌舞伎座。今年初めての公演は新橋演舞場。右若さんは、劇場によって、香りが違うと感じています。
「浅草公会堂の香り、歌舞伎座の香り、新橋演舞場の香り。それぞれに違いますし、楽屋によっても違います。化粧する白粉のブランドによって、香りも違いますし。皆さんそれぞれ、好きな香りの白粉を使っていますから、それぞれの良い香りがします。白粉を塗って、紅を引く。化粧をしていくことで役に入っていくんです」
真っ白の艶やかな肌は、白粉によって磨かれるのだそう。
「1日4回は洗顔することになりますから、それで新陳代謝が良くなるのでしょうか。それに、白粉の粒子が優しい研磨剤の役割をするそうで、爪までピカピカになるんですよ」
個人的には白檀の香りがお好きだそう。
「塗香を使ったりする方もいらっしゃいます。白檀は、精神統一できるんです。香りは五感を整えてくれますね。そして舞台では、さらに匂い立つような役を演じたいですね」。
好きな仕事を好きなままに続けていくには、真摯に向上心をもって向き合い続けること。右若さんという歌舞伎俳優は、それを進行形で体現している人なのです。
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
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