小松さんは、撮影などで神社を訪れるときも、必ず本殿の前で手を合わせる人。彼女は絵を描くスペースでも白檀のお香を炊き、描く前には必ず祈るといいます。
「白檀の香が部屋中に漂うと、祈りと描きたいものがつながり、気持ちがすーっと落ち着くのです。ディフューザーも使いましたが、やっぱり私はお香がいい。気の合うお寺に行ったときに、お香を売ってると買って帰ったりもします。先日は山梨県の身延山久遠寺に行ったとき、加山又造先生の墨龍の天井画を見て感動したのですが、そこにも白檀の香が漂っていました」。
香と祈りと描きたいものの姿が一体になる空間。小松さんはそこに身を置くことで素晴らしい作品を生み出しているのです。
小松さんの絵は世界で高い評価を受けていますが、彼女は東洋、特に中華圏で、受け入れられやすいと感じているようです。
「ニューヨークで狛犬の絵を発表したときに、Lion dog beast、と表現されてしまったのです。Beastというのは人間を殺すようなよくないイメージがあるのです。でも中華圏ではSpiritual guardian dogと表現されました。そこが捉え方の違いです。たとえば、龍も、西洋のおとぎ話では退治されてしまうことが多いのですが、中国の民話では龍と王様が一体になるとか、龍の力を借りるというものが多い。これは、自然の猛威と戦うのか、それとも共存するのかという考えにも近いのかもしれません。できれば、私は人間と自然は共存してほしいと思うのです」。
アジアの人たちと魂でつながっていきたい
先日は北京で表彰された小松さん。4月からはまた台湾に滞在しながら、創作を続けていきます。今や草間彌生さん、村上隆さんに次いで、日本を代表する画家になりつつあるのです。
「欧米も大切だけれど、自分としてはもっとアジアの人と丁寧につながっていきたい気持ちです。今一度、魂でつながりたいですね」
これからも目に見えないものを具現化し、見る人の心を揺さぶるアーティストとして、小松美羽さんの世界的な飛躍に注目です。
世界を居場所に据えた彼女の考えは、これからの生き方としてすべての人を勇気づけてくれそうです。
世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀
GINZA SIX 1周年を祈念し、GINZA SIXに店舗を構える博多織の老舗『OKANO』と2014年からコラボレーション作品を手がける現代アーティスト・小松美羽さんによるライブペイント開催が決定♡
GINZA SIXで行われるライブペイントの同日に、今年3月に発売された書籍のサイン会も開催されるほか、ライブペイントで描き上げられた作品がGINZA SIX4FのOKANO店舗前に展示されます。
貴重な作品や迫力あるライブペインティングを観に、着物で銀座にお出かけしてみてはいかがでしょうか?
【小松美羽 GINZA SIX 一周年 祈念ライブペイント】
日程 4月21日(土)14:00 ~ 15:30 ※雨天決行
場所 GINZA SIX ガーデン(屋上庭園)
参加費・定員 なし(※当日の状況で入場を制限する場合がございます)
【小松美羽書籍「世界のなかで自分の役割を見つけること――最高のアートを描くための仕事の流儀」サイン会】
日時:4月21日(土)15:30〜16:30
場所 GINZA SIX ガーデン(屋上庭園)
サイン数100冊
協力 銀座 蔦屋書店
定価 1,512円 ダイヤモンド社
【ライブペイント 作品展示】
日時 4月23日(月)〜5月6日(日)
場所 GINZA SIX 4F OKANO 店舗前の柱面 2箇所
→その他詳細はこちら
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com/