そんな豪快な尼子さんという父親と、優しいちえみさんという母親のもと、縁あって繋がった7人の子どもたちも仲良くなりました。
「父親だけだと、家の中に花があるとか、お香をたく、といったことがなかったんだそうです。それで、息子がSNSにお花をアップしてくれていたりすると、ああなんか良かったな、と思います。お互いに何かしらの良い影響があるということなのかなと。夫も事務所にお香をもって行ってたいたりしているんですよ」
それぞれの人生を経て、新たな家族となる。ちえみさんは、今、とても感謝の多い日々を送っています。
「ある程度の人生を経て、夫と補い合えたという感じがするんです」
病気をしたことも、今はプラスに捉えています。
「最初はなんでこうなっちゃったんだろうと考えましたが、なっちゃったことを考えても仕方ないですもんね。これからのことを考えないと」
今は、前向きに自分を大事にすることに目覚めました。
「日本ってまだまだ自分が自分を大事にしたいと思っていると『自分勝手』というふうに捉えられがちだと思う。でも自己犠牲はよくないです。私には自己犠牲をしてそこに喜びを見出す部分もあったと思います。でもそこにはやっぱりストレスがあった。だからいい意味で、自分ファースト。それは自分勝手とは違うんです。自分を大事にすること。自分を大事にするから周りも大事にする。それがいいな、と」
のんびりしているけど、頑張り屋。頑張ることを楽しんでしまう。そんなふうに自己分析するちえみさんは、今は程よく頑張れる術を身につけた様子。
10月29日、渋谷・duo MUSIC EXCHANGEで開催するコンサートでは、昨年に続き、また英語の歌にトライします。
「楽しんで頑張っちゃう。去年はカーペンターズの『Close To You』を歌いました。ちゃんと歌えたときに、拍手をいただいて、やって良かった、と思えたので、今年も英語の歌に挑戦することにしました。何を歌うかは当日のお楽しみにしてください。今は大変だけど、本番はきっと、大丈夫」
きっと大丈夫。それは自然とご夫婦のなかで息づいている言葉。ちえみさんは今、とても健やかで明るい光の中にいるようです。
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取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
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https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com