ライフスタイルと音楽。独自のダンディズムとセンスにこだわり続けてきた松浦さんが、次に考えるのは、どんな一手なのでしょう。
「今回のアルバムのアプローチはあえてポップだった。ただし、音的にはこだわって。お金をかけてもあえて海外でやることは必要だったと思っています。それはクリエイティビティに関わることであり、音に出ることだから。若い人たちは情報は早いし、量も多いけど、動きはスローなことが多い。僕はそこで素早く動いて掴み取りたい。とあるファッションブランドの新しいクリエイティブ・ディレクターがパリのショーで今回のアルバムを使ってくれたり、同じタイミングでアルバムを聴いたオーストラリアの最近気に入っているバンドから連絡があり、来年2月に主宰するフェスで一緒にやりましょう、他にも一緒にレコーディングをしましょうと海外のアーティストからメールがきたりしています。そういう動きが嬉しいですね、やはり。」
目指すのは、音の生っぽさを生かす、熟練者の塩梅と集中力。
「たとえば、昔だったら、録音した音を粉々にして、何ヶ月もかかって繋ぎ直して、という作り方もしていた。それが受け入れられる土壌も、受け入れられる市場もありました。でも今は、生感というか、Rawさ加減が重要視されている。それも理解した上で、その生のものにひと手間つけて、味を引き立てる。そこにこだわりを見せたい。完璧な素材を最小限の手の入れ方で最高の味にする、和食やイタリア料理のように。でも、気持ちは新人アーティストがスタートラインに立っているような気持ちで臨んでいます。」
世代を問わず、音楽を通じて人と組み、ものを作る。松浦さんはこれからますます新しい音と空間を作っていくのでしょう。
【撮影した場所】
WIRED HOTEL ASAKUSA
日本の伝統と、新しいデザインが融合した、カフェカンパニー経営のホテル。
毎月第1、第3月曜日19:00〜21:00に、1階カフェスペースから全世界に向けてインターネットラジオ「Worldwide FM 」の公開生放送を開催中。松浦俊夫さんがプレイしている。
東京都台東区浅草2-16-2
電話 03-5830-7931
http://wiredhotel.com/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com/