余計なものを省き、ぎりぎりの線を残す。そんな美学のある波戸場さんのお好きな香りは、伽羅、沈香といった品の良い上質の香り。「茶道をやっていたので、空間を清めてくれるお香の良さはずっと大事にしています。良い香りがほのかに漂う場所というのは落ち着くし、居心地が良いですからね。ふわっと香るという、日本の文化の奥ゆかしさは、家紋にも通じますね」 日本ならではの家紋の文化。公家から武家へと伝わり、江戸時代には庶民がもつことを許されました。「今は5万種類くらいあるでしょうか。江戸時代は規制のなかで、面白おかしくデザインしてあるものが沢山生まれました。自分の好きな役者の紋を入れたりもしたのです。今日からこれがうちの紋、といえばそれでよいものでもあるのです。これからも、紋に興味をもっていただけたらと思います」
円が描くおくゆかしさ、無駄のない美しさ。波戸場さん親子が描く紋の世界は、ますますその円を縁として、大きく広げていくことでしょう。
■告知
デザインあ展 | 山梨県立美術館
https://www.artagenda.jp/exhibition/detail/3083
ご招待チケットプレゼント invitation ticket gift. こちらの展覧会は、5組10名様にご招待チケットがございます。
美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ
www.artagenda.jp
山梨県立美術館の情報はこちら
https://www.artagenda.jp/museum/detail/400
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com/