好きな香りを尋ねると、鞄からお香を取り出してくださいました。
「こはね、うちのかみさんが足利の国宝の鑁阿寺というところをボランティアで手伝っていて、有名な調香師さんのところへ行って、1年がかりでお香を作ったのです。それがすごくいい香りで。かみさんがそんなことをやっているというのも、最近知ったのですが。彼女は匂いに敏感で、部屋ごとに香りを変えています」
山田さんはお墓参りでもお線香をきちんと3本、必ず供えます。
「僕は6人きょうだいの末っ子なのですが、墓守をしています。東京の曙橋にある寺に墓がありまして。父が賑やかなところが好きだったので選びました。いろんな宗派のお寺の講演にも呼ばれるので、お墓参りについてはいろいろと教えてもらいました。お線香は3本。お供えするのは香りだけだから、あとは持ち帰るとか。どんな花でもいいとか。ちっちゃなことでも、勉強になります」
家族を大事に思い、先祖に礼を尽くす山田さんだからこそ、多方面での成功を手にすることができているのでしょう。
「これからですか。そうだな、1、2、3、山ダーッ」っていうのを流行らせたいんです。くだらなくていいでしょう」
人の気持ちを和らげるあの変わらない笑顔が、そこにありました。
取材・文 森 綾
https://moriaya.jimdo.com/
大阪府生まれ。神戸女学院大学卒業。
スポニチ大阪文化部記者、FM802編成部を経てライターに。
92年以来、音楽誌、女性誌、新聞、ウエブなど幅広く著述、著名人のべ2000人以上のインタビュー歴をもつ。
最新著書は、「大阪のおばちゃんの人生が変わるすごい格言一〇〇」
撮影 ヒダキトモコ