そんなエピソードの玉手箱のような浜村さんが好きな香りは「梅の香り」。そこにもこんな素敵なエピソードがありました。
「毎日放送は年に1回、ラジオウォークというイベントをやっています。奈良・大和路を歩くのですが、飛鳥、藤原京、興福寺となかなかに風情があります。その時期が、今は3月下旬の少し暖かい時期なのですが、以前は2月11日の建国記念日だったのです。ちょうど梅が満開の頃です。そのとき、寺の塀越しに香る梅の花が本当に良い香りで楽しみでした。飛鳥村保存法という条例があり、建物は白壁と黒瓦だけ。そこに向こう側に咲く紅梅が香りを漂わせるのです。都会ではあの自然な香りは無理ですね」
浜村さんは日本香堂の『花の花』シリーズがお気に入り。
「特に『白梅』の香りが好きです。優雅で上品ですね。煙も少なく良い香りがしますから、お仏壇にお供えするだけではなく、ふつうにたいたりしています。『花の花』のシリーズは、いろんな花の香りがありますね。私はハワイが大好きなので、ココナッツやハワイの花の香りもあるといいなあと思います。ワイキキ・ビーチを思い出せるような」
と、思わぬご提案もいただきました。
45年間、元気に朝から語り続ける浜村さんを支える原動力はどこにあるのでしょう。
「私にエネルギーをくれるのは、映画ですね。そしてラジオは存分にしゃべらせてくれる、語りのメディアです」
映画とともに、語りつくせぬ人生。今、おすすめの映画は12月公開予定の『男はつらいよお帰り寅さん』。
「山田洋次監督という方は、さりげなく笑いを入れますね。笑わそうとして気張る笑い、わざとらしい笑いを嫌う方です。『男はつらいよお帰り寅さん』は、渥美清さんがあたかも生きているかのように名場面を挟みこんであるのです。笑わせて泣かせます。ぜひご覧ください」
昭和から令和へ。時代は変わっても、変わらない人の心、感動はある。浜村さんのトークを聴いていると、そんなことをしみじみと感じ入ります。
『男はつらいよお帰り寅さん』12月公開予定
〈名香・名画〉プレゼント・キャンペーン実施中
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浜村さんがパーソナリティーを務める「ありがとう浜村淳です」(月〜木曜、あさ8時〜)は、生放送。
今年4月に45周年を迎え、さらに疾走中です。
http://www.mbs1179.com/arigato/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 一二三泰正