今道さんは、香りを「おもてなし」の一部として大切に考えています。
「生徒さんが来る前に、その日のテーマにそって、香りを選んでいます。化学的なものではなく、エッセンシャルいるやボディミストを部屋にも使ったり。ラベンダーが好きなので、ラベンダーベースのものが多いです。ラベンダーには、リラックスだけではなく、抗菌効果もあると聞いたことがあります」
お香に興味をもった今道さんは、香道の勉強もしたそうです。東京・上野の正倉院展では、伝説的な香木・蘭奢待も見に行きました。
「織田信長、足利義満、明治天皇。天下をとった勇者が香木の一部を切り取って焚いたというのは興味深いお話ですよね。実際に拝見すると、生ハムみたいな塊でしたが(笑)」
お香のなかで、今道さんが魅了されたというのが、伽羅や沈香。
「灰に炭を入れ、本物の香木のチップを焚くのは、本当に格別な香りがして、神秘的ですね。何千年もかけて固まった樹液の結晶だというのですから、その物語を聞くだけでもなんとも良い気持ちになります」 今、欧米で人気の瞑想(メディテーション)にも、音楽とともに香は欠かせない存在になっています。今道さんはそこにも注目しています。
「香りは大脳にダイレクトに響くものだから、その後の行動が変わっていくことは科学的にもあり得ることですよね。実は私、掃除をするのはあまり好きではないので、気分をあげるために、掃除の前に香をたいたりします。すると、面倒な掃除も楽しいことのように感じるのですよ」
何事も、やるべきと決めたことは、心の底からポジティブに変えていく。今道さんは、これまでもこれからも、そんな魔法を体現していく人なのでしょう。
LIVING PHOTO HP
http://livingphoto.jp/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1