コロナ禍という社会的環境の変化と、お母様の死という個人的環境の変化と。
そんななかで、歌うこと以外に、中江さんは日々の緊張をほぐす方法を模索していました。
「安心して体調も崩せないというくらいの緊張度ですよね。調子が悪いとか、ちょっと風邪をひいたとかっていうのも許されない感じでしょう。だから、意識的にリラックスする時間を作ろうと『マインドフルネス』の時間を作りました」
「マインドフルネス」とは、今の自分の状態に意識を向け、心を整えること。そのままを受け止め、巡らし、手放します。仏教の瞑想をルーツにしていますが、科学的に精神を健やかに保つのに役立つと言われています。
「うちのなかで仕事をしていると、切り替えが難しいんです。瞑想し、静かな音楽を聴いて、心を休める。その前に切り替えとしてリラックスできるようなカモミールやミントなどのハーブティーを飲んだりします。香りは癒し、なんでしょうね」
緊張状態のままでは眠れず、翌朝に疲れが残ってしまいます。あまりにも緊張が取れない時はスパへも出かけるそう。
「スパでアロマオイルの香りを選ばせてもらえたりするのは嬉しいですね。リラックスした後、元気も出てくるオレンジなどの柑橘系も好きです。オレンジの色や形など、その時思い浮かぶイメージとも繋がっているのかもしれませんね」
涼やかな微笑のまま、さまざまな仕事に向き合い、表現し続ける中江さん。新しいアルバムから溢れてくる優しい声は香りを伴って流れてくるかのよう。彼女の声は、聴く者のマインドフルネスにもきっと役立ってくれそうです。
日時 3月17日(水)19:00~
中江有里-Live streaming-
「Port de Voix - acoustique」produce by Goro Matsui
1部&2部 4,000円
1月リリースの最新アルバム「Port de Voix」を中心にお送りするアコースティックライブ。リリース前の新曲も披露します。
チケットの販売は、イープラスの特設サイトにて
https://eplus.jp/sf/detail/3386000001-P0030001P021001?P1=0175
アーカイブ配信は、3月23日(火)23:59まで視聴可能です。
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 初沢亜利(はつざわ・あり)
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家として活動を始める。
東川賞新人作家賞受賞、日本写真協会新人賞受賞、さがみはら賞新人奨励賞受賞。写真集に『Baghdad2003』(碧天舎)、『隣人。38度線の北』『隣人、それから。38度線の北』(徳間書店)、『True Feelings』(三栄書房)、『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)。
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