堀田さんは、この青いバラの香りをお線香にするミッションを受け、研究を始めました。
「たとえば柑橘系の薫香商品は、弊社にはありますが、一般的にはあまりないですよね。これには理由があって、そのフレッシュな香りを出すのは難しいのです。それに、火をつけて加熱したときに香りが変質してしまってはいけません」
開発には時間を要しました。しかし、この香りをお線香にすることの意義を堀田さんは感じていたようです。
「もともと私はバラの香りを何度も研究したことがあり、ばら園に何度も赴いた過去の経験もありました。日本人の女性に好きな香りの調査をしたときに、95%以上の女性がバラの香りを好きだと答えたように思います。文句のつけようがない1位です。バラは妖艶さと可憐さ、多面性も奥行きもある香りをもっています。ひとりひとりの女性がそのどこかを好きになる要素があるのかもしれません。この『サントリーブルーローズ アプローズ®』は一般的なバラの香りとは違うとはいえ、やはり中心にはバラのゆたかな多面性が静かに存在している。ただの爽やか、ただのエレガントには終わらない、奥深さがあるのです」
1輪3000円ほどで販売されているという『サントリーブルーローズ アプローズ®』。しかしなかには市場に出せない形(香りの品質は同じであるが出荷基準に満たないもの)のものもあります。
「その花部分(※1)から、減圧低温蒸留法によって得られる花そのものの中に含まれる生体水(※2)と、その抽出で残る粉末(※3)を採り出して、それらをお線香に入れることができました。つまり、出来るだけ生花の香りを再現するだけでなく、ちゃんと本物が入っているんです。」
実際に粉末になった花びらは、やはりブルーが際立っています。生体水の香りは、そのまま香水にしたいような良い香り。
こうして、これまでになかったお線香『Blue Rose』が誕生したのです。
「洗練された爽やかさを表現できたと思います」
堀田さんも、商品の仕上がりにはにっこりと笑顔。この香りなら、和洋を問わず、どんな生活空間にも心地よく感じられそうです。
日本香堂マーケティング部の中村明子さんによると、専門店ブランドとして、プロジェクトチームをつくり取り組んだ待望の新商品だそう。
「一般的なバラの香りは華やかなので、場合によっては、お祈りする場には控える方もいらっしゃるのかもしれません。しかしこの『Blue Rose』は、華やかさが控えめで、清らかさ、爽やかさが際立っています。
祈りのシーンにとけ込む香りを目指しました。祈るというのは、こちらの心も整い、澄ませるような行為ですよね。『Blue Rose』はまさに手を合わせる心と場を浄化するような香りでもあると思います」
サントリーと日本香堂の人々の想いが祈りの形になった『Blue Rose』は、専門店ブランドとして、デパート、仏具専門店などで販売が始まっています。
お線香は祈りとともに。その気品ある清々しい香りは、贈られた人の心にも想いとして寄り添うことでしょう。
サントリーが長い歳月をかけて開発した奇跡の青いバラ『サントリーブルーローズ アプローズ®』を
日本香堂が祈りの形に、それがBlue Rose(ブルーローズ)。
関係者のインタビューは下記から
※1 萼・茎・葉を除きます
※2 バイオジェニックウォーター®
※3 バイオジェニックパウダー®